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放射線の害を可能な限り減らす「セレン」について一覧

放射線の害を減らすためのセレンの効能、効果と活用方法

放射線は実年齢よりも老化を早める。セレンなど抗酸化食品は放射線から身を守ると同時に老化も抑える

セレンはアンチエイジング(抗老化)作用があり、多くの実験などで確認されています。セレンとアンチエイジングに関する文献を調べているうちに、放射線障害と老化が非常に似ていることを突き止めました。

というのは、放射線障害になつた人は、実年齢よりも20~60年老化が早まるのと同じ現象が多く見られるからです。そこから、セレンで放射線障害が治せるのではないかと思うようになり、さらに多くの文献を調べ、放射線障害には抗酸化物質が有効であること、とりわけセレンが効果的であることを確信しました。

火事で家が燃えていくように、放射性物質は人間の細胞にやけどを負わせます。体内に入った放射性物質は、毒性が強い活性酸素を作り出し、それが活性化すると、細胞膜に穴をあけ、DNAを傷つけます。DNAが傷つくと、10年後、20年後、大なり小なり、放射線の影響によって、がん発症率が高まってくることは事実です。

マスコミは1時間あたりの放射線量(外部被曝)や1時間あたりの食品に含まれる放射線量(内部被曝)しか報道しません。しかし私たちの健康に影響を与えるのは、累積放射線量です。食品や飲料水に含まれる放射性物質は、日々私たちの体の中に入ってきます。被曝すると10年後にがんになる、といわれると、「10年先のことだから気にしてもしようがない」という人がいます。しかし10年先に突如がんになるわけではなく、体の中ではがんの芽が育ちつつあるのです。

セレンなど抗酸化物質を含む食事を心がければ、がんの芽を摘むことができます。内部被曝の影響をできるだけ少なくして、健康な人生を歩みましょう。

セレンは、1日100㎍必要だが、放射線リスクを考えると200㎍が望ましい

現代人はセレンを消耗しやすい

肉や魚、野菜、海藻などをバランスよく食べ、偏りのない食生活を心がければ、食べ物からl日10 0 鵬以上のセレンをとることは可能でしょう。しかし、こちらので紹介したとおり、現代の日本は、活性酸素が過剰に発生しやすい環境に置かれています。
活性酸素を増やす要因には、紫外線、電磁波、農薬や食品添加物、喫煙、ストレスなどがあります。さらに今の日本では、これに福島原発事故による内部被曝が加わります。

しかし、日本国民1人ひとりの被曝量をすべて調べるのは、到底不可能です。体内に活性酸素が発生しやすくなると、体内の抗酸化酵素や抗酸化物質も大量に消費されます。活性酸素を消去する大事な酵素であるGPXも消耗するので、それを補うためにセレンが必要になってきます。とくに原発事故による内部被曝に関しては、いつになつたら安心できるのか想像がつきません。少なく見積もっても、あと数年は注意が必要でしょう。

とくに、放射線被曝が原因で、がんを発症するまでには、10年、20年と長い年月がかかります。チェルノブイリ原発事故も、年月がたつほど、がんの発症率が増加しています。

なかでも、子どもへの影響は深刻で、がんを発症する子どもも急増しています。今後、日本でも同じことが起こるかもしれないのです。食品に含まれる放射性物質の濃度が下がるのが、いつになるかわからないのであれば、私たちにできることは、放射線の影響を取り除く抗酸化力を高めること以外ありません。だからこそ、セレンをとることが重要になってくるのです。

l日200㎍とれれば抗酸化力は飛躍的に向上

そうしたことから考えると、私はセレンの1日の摂取量は最低でも100㎍、できれば200㎍を目標にするべきだと考えています。「食品だけからでは200㎍とるのがむずかしい」というのであればサプリメントを利用するのもひとつの方法です。

セレンのサプリメントは、セレン単独のものや亜鉛などと一緒になったものがあります。一般に、亜鉛として販売されているサプリメントには、セレンが含有されているものが多いようです。なおセレンのサプリメントには、有機セレンと無機セレンがあります。無機セレンは腸からの吸収が50% 程度ですが、有機セレン約90% といわれています。

したがって、セレンのサプリメントを選ぶときは「有機セレン」の表示があるものを選ぶとよいでしょう。サプリメントでセレンをとると、過剰症の心配があります。セレンで中毒を起こす摂取量は成人の場合、1日800㎍なので、大量にとらないようにしましょう。

なお、妊婦や授乳中の母親、乳児の場合は、食事からのみセレンをとるようにしてください。いずれにしても、栄養摂取の基本は、ふだんの食生活です。食事で100㎍とれている人なら、サプリメントで100㎍食事で150㎍程度とれる人であれば50㎍補えばよいことになります。200㎍のセレンを毎日定期的に摂取できれば、体内の抗酸化力は飛躍的に高まるでしょう。

セレンは抗酸化ビタミンや亜鉛、銅、鉄などのミネラルと摂ると放射線防御効果がより高まる

セレンが作るGPXはビタミンE不足で劣化

セレンは放射線被曝、とりわけ内部被曝による健康への影響を防ぐための最も重要な栄養素です。さらにセレンは、ほかの栄養素と組み合わせることで、より効果が発揮されます。

セレンと一緒にとることで、相乗効果が期待できる栄養素についてがポイントとなります。ビタミンやミネラルの中には、セレンと同様、抗酸化作用をもつものがあります。これについては、酸化ビタミン・ミネラルがあると、セレンと一緒になって、放射線によって発生する活性酸素を消去する力が高まります。

抗酸化ビタミンは、ビタミンA (βカロテン)、ビタミンC 、ビタミンE の3つ、抗酸化ミネラルは、セレン、マンガン、銅、亜鉛、鉄の5つです。

体内で作られる抗酸化酵素には、SOD、GPX、カタラーゼがあります。マンガン、亜鉛、銅はSODを作る材料、セレンはGPXの材料、鉄はカタラーゼの材料です。

カタラーゼは細胞の中のミトコンドリアというところで、GPXのように、過酸化水素を分解します。抗酸化酵素と抗酸化物質は、それぞれ単独で抗酸化力を発揮するのではなく、お互いに連携しながら働いています。

たとえば、抗酸化酵素のGPXは、ビタミンEが不足すると働きが悪くなります。一方、ビタミンEは自らが酸化されることで、活性酸素の酸化反応をストップさせます。この酸化されたビタミンEを復元させるのにビタミンCが必要となります。

酸化されたものを元に戻すことを還元といいますが、ビタミンCもまた、自らが酸化されることで、抗酸化力を発揮しますが、これを還元するのがナイアシンです。
また、マグロや青背魚に多く含まれるDHA・EPAは化粧品にまで含まれるようになりました。
血栓の予防にEPA・DHA
https://more-supplement.info/use/archives/30

セレンは魚や海藻、肉、卵に豊富に含まれるが、日本人平均の100㎍をとるのはむずかしい

野菜より動物性食品に多く含まれる

セレンは魚介類や海藻類、豚肉、鶏肉、卵などに豊富に含まれています。主食のお米の場合は、玄米では100gあたり26㎍含まれていますが、精白米にすると4㎍に減ってしまいます。玄米がいいと言われるひとつの理由にもなっています。

また海藻類を除くと、植物性食品より動物性食品のほうが圧倒的にセレン含有量が多いので、魚介類や肉類をしっかりとることが、セレンを効率よく摂取するコツです。
歳をとると動物性食品をほとんど口にしないで豆などを食べる人もいますが、ある程度は動物性食品も必要なのです。

平均は1日約100㎍とされており、サプリメントなどによる過剰摂取を防ぐため、上限を30~40才男性(基準体重68.5kg) で約300 ㎍としています(女性やそれ以外の上限値は、4.4㎍/kg/日で計算)。

実際には、セレンの過剰摂取で健康被害が現れるのは、800㎍を超えた場合なので、普通に食事からとる場合は、過剰摂取の心配をする必要はありません。
海外には土壌にセレンが少ない地域が存在します。幸いなことに、日本の土壌中のセレンは多くもなく少なくもない状態なので、病気になるほどのセレン欠乏をまねくことはありません。

輸入野菜などはセレンの含有良が少ないものもある

しかし、最近はグローバル化で、海外の農産物が日本にもたくさん入ってきています。中国は土壌のセレンが少ない地域が多く、野菜などにセレンを多べ含んでいない可能性があります。

私たちは知らず知らずのうちに、低濃度セレン含有食物を食べている可能性もあるのです。また最近は魚離れの傾向があり、セレンの摂取量は、昔に比べると少なくなっていると考えられます。

また、野菜も昔に比べると、すべてのミネラルの含有量が減ってきているので、セレンも減少しているのではないでしょうか。さらに、体内で活性酸素が発生しやすいと、それを消去するため、セレンが多く使われます。
現代の食品は農薬や食品添加物などが多く、これらも活性酸素を増やす大きな要因です。そのため、かなりの量のセレンが消費されます。そのため、意識してとらないと、食事から1日100㎍のセレンをとることはできないでしょう。

セレン濃度が低い地域で1日200㎍摂ったらガン発症率、死亡率ともに低下した

セレンのガン予防効果

セレンを多めに摂ると、がんの発症率が下がるは、さまざまな研究でも確認されています。アメリカ、アリゾナ大学のクラーク氏らは、土壌中のセレン濃度が最も低いアメリカ南東の居住者1312人に、セレンを1日200㎍ 投与しました。その結果、セレンの投与によって、すべてのがんの発症率が25%下がり、前立腺がんは42%、結腸・直腸がんは54%と減少し、すベてのがんの死亡率を51%減少させたことが確認されました。

その後もクラークらは、皮膚がん患者1300人以上を対象に、臨床試験を行いました。被験者をセレンを1 日200㎍与えた群と、偽薬を与えた群に分け、これを約7年間続けました。

その結果、セレン群は偽薬群と比べて、がんの発症率が42%に減少し、がん死亡率は50%以下になったことを報告しています。この結果から、がんの抑制には、セレン1日200㎍がすすめられます。
さらに1日300㎍のセレンの摂取で、肺がん、大腸がん、前立腺がんの発症率が大幅に減少したと報告しました。

中国の幽氏らは、セレン欠乏と慢性B型肝炎が風土病である中国青海省で、2万947人の住民にセレンを毎日30~50㎍与える大規模な臨床試験を行いました。
その結果、初期の肝がんの発症率が50%低下しました。また初期の肝がんになる危険性の高い集団の家族にセレンを1日20㎍または偽薬を与えました。その結果、セレンをとった群は、初期の肝臓がんが35%減少したと報告しています。

がん死亡率とセレンの血清中濃度は逆相関する

これも中国の研究ですが、李氏らは食道がんの死亡率が世界一高い中国良郷で、抗酸化食品として、毎日βカロテン、ビタミンEおよびセレン50㎍を5年間とってもらいました。

この研究期間で胃がんと食道がんを合わせた死亡率を調べたところ、セレンなどをとらない群の死亡率は32%でしたが、とった群の死亡率は13%に減少しました。

また李氏らは、中国での追跡調査で、食道扇平上皮がんと胃噴門部がんの死亡率と血清中のセレン濃度との間に逆相関があることを発見しました。それによって、がんにかかりやすい人の血清中のセレン含有量は78 ㎍/L以下の含有量であると定義されました。

多くの研究で、セレンを多めにとることで、乳がん、食道がん、胃がん、前立腺がん、肝臓がん、膀胱がんなどに効果があったことが報告されています。

セレンが、がんを抑制するのは、その強力な抗酸化作用によって、体内の活性酸素に細胞が傷つけられないよう保護するからです。
またセレンは免疫細胞の働きを強化することで、がんができるのを抑制し、同時にがん細胞の増殖を遅らせます。さらに、セレンには有機セレンと無機セレンがありますが、有機セレン(セレノメチオニン) は、がん細胞にアポトーシス(細胞死)を促す働きがあります。
また、がんは増殖するために、自ら新しい血管(新生血管)を作つて、栄養補給を行います。有機セレンは、がんの血管新生を阻害する作用があることも、よく知られています。

セレンはリンパ球などの免疫細胞を活性化させ細胞のがん化を防ぐ

免疫力が低下するとガンになりやすい

放射線被曝で最も恐ろしいのは、がの発症率が高くなることです。がんを防ぐには、セレンを含む食事などで、体内に取り込まれた放射性物質を除去することと、免疫力を高めておくことが大切です。また、ある程度の症状や病気は自分の免疫力で治すことができます。
こちらにもガンを撃退する方法が少ないですが紹介されていますが、「卵巣ガン・子宮体ガン」袋状の臓器である卵巣や子宮は体温が低下しやすくガンが発生しやすいのように冷えと体にたまる毒素が大きく影響していることがわかってきました。これらが体の免疫力を低下させてしまうからです。

免疫というのは、人体にもともと備わっている病気と闘うシステムです。ウィルスや細菌に感染したとき、これらは免疫によって排除されます。

また、がん化する恐れのある変異細胞を見つけて、排除するのも免疫が働いているからです。放射線の影響が少ない場合でも、免疫力が低下していると、がんになりやすくなります。
免疫システムを担っているのは、白血球の免疫細胞です。

とくに、がんの予防においては、リンパ球が重要な役割を果たします。免疫システムが正常に働くためには、セレンが不可欠です。セレンによって、GPX(グルタチオンペルオキシダーゼ) が働くようになると、免疫と抗炎症作用が向上します。

GPXは、リンパ球のヘルパーT細胞を刺激して活性化させます。するとヘルパーT細胞はサイトカインという免疫物質を産生し、B細胞の「抗体」を作る働きを活性化させます。

病原菌やウイルス、がん細胞などのことを「抗原」といいます。これに対し抗体は、抗原につけられた日印です。抗体があると、マクロファージ、キラーT細胞、NK細胞などが、闘うべき抗原を見?けやすくなります。さらに、キラーT細胞は、ヘルパーT細胞が作り出したサイトカインの刺激が性化され、ウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃します。

セレン不足はT細胞を作る胸腺の成長を阻害

しかしセレン欠乏すると、T細胞を作り出す胸腺の成長が阻害されるため、T細胞の数が減少してしまいます。つまり、免疫力を高めるためには、セレンを十分摂取する必要があるのです。

次のような臨床研究があります。2つのグループのうち、一方はセレン剤を1日200㎍飲ませます。もう一方は同じ形状をした偽薬を与えます(対照群)。これを8週間続けた後、すべての被験者の効果を、年齢、性別、体重、身長、栄養状態および生活習慣などに関係なく無作為に選んで調査。

その結果、セレンを補ったグループは、キラーT細胞が118%に増加し、NK細胞が82.3%増加しました。この結果を受けて、免疫向上のために、通常の食事のほかに、サプリメントなどでセレンを補給することをすすめています。

動物実験では、一貫してセレンを多量に与えると、がん予防に有益な結果が出ています。乳がん、肝がん、膵臓がん、皮膚がん、食道がん、直腸がんにおいて、明らかな抗腫瘍作用、がん予防効果が示されています。一方、人間の場合は、セレンを十分に含んだ食事と通常摂取量の2倍以上のセレン投与によって、50%以上の腫瘍が縮小すると報告されています。

セレンなどが作るメタロチオネインはヨウ素やセシウムを除去する

水銀、鉛、カドミウムなど重金属を体外に排泄

セレンには、本来、体の中にあってはいけない重金属を体外に排出する作用があります。よく知られているのが、水銀や鉛、カドミウムといった体に害を与える重金属です。

また放射性のヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの重金属も除去します。いずれも福島原発事故で飛散した放射性物質です。この点からも、内部被曝の影響を防ぐのにセレンは役立ちます。

ではどのようなメカニズムで、セレンは重金属を除去するのでしょうか。1957年、馬の腎臓から重金属と結合するタンパク質が発見され、メタロチオネインと命名されました。

メタロチオネインは、動物にも植物にも含まれています。もちろん人間の体内にもメタロチオネインは存在し、とくに肝臓、腎臓、膵臓、小腸に多いのが特徴です。メタロチオネインは、セレン、亜鉛、銅らと含硫アミノ酸を原料として体内で合成されるので、これらの栄養素をきちんと摂取することが大切です。

また、メタロチオネインはセレンの刺激で形成されるので、セレンはとくに重要な栄養素といえるのです。細胞などに重金属や放射性物質を見つけると、メタロチオネインはそれらを捕まえて、解毒し、排出してしまいます。

またメタロチオネインには放射線によって発生するフリーラジカルや活性酸素を消去する作用があります。

血中セレン濃度が高いと甲状腺がんになりにくい

セレンによって甲状腺などにたまった放射線ヨウ素を取り除くことができれば、甲状腺がんの発症を防ぐ効果が期待できます。しかし、それだけでなく、セレンそのものにも甲状腺がんを予防する働きがあります。

健康な人の甲状腺はセレン濃度が高く、不足すると甲状腺ホルモンの障害が現れます。カナダ産のセレンの豊富な小麦を食べていた人たちが、ヨ一口ッパ産のセレンが乏しい穀物に切り替わったところ、セレンによって作られる酵素の活性低下にともない、甲状腺ホルモンの分泌も低下したことが報告されています。

甲状腺がんの患者43人の血液と健康な人の血液を比較した調査があります。それによると、甲状腺がん患者のセレン浪度は、健常者より明らかに低く、濃度が低いほど甲状腺がんが増加しました。

一方、チェルノブイリ原発事故では、甲状腺異常の予防のためにセレンが用いられ、効果を発揮したといわれています。前述しましたが、放射性ヨウ素の内部被曝を避けるには、ヨウ素(ヨード)をとる必要があります。同時に、セレンも十分にないと、放射線による甲状腺がんを防ぐことができないといえます。

活性酸素を消すにはGPXという酵素の主成分、セレンが必要不可欠

レンが作るGPXが活性酸素を無害化する

セシウムなどの放射性物質が含まれている食品を食べて、内部被曝すると、体内では活性酸素が多量に発生し、細胞を傷つけます。しかし人体には活性酸素を消去する酵素が備わっています。セレンはこの酵素の活性を高めて、抗酸化作用を発揮します。活性酸素を消去する酵素にはSODやGPXなどがあります。

セレンはGPXの主成分で、SODの生成にも必要です。細胞が酸素を取り入れると、必ずスーパーオキシドという活性酸素が生まれます。同時に体内ではSODが生成されます。スーパーオキシドは細胞を傷つけ破壊するので、発生と同時に消去しなければなりません。

SODは体内に生じたスーパーオキシドを過酸化水素に変換します。過酸化水素もまた、酸化によって細胞にダメージを与える活性酸素の1種です。この過酸化水素を無害な水と酸素に分解する酵素の1つがGPXです。
一方、スーパーオキシドや過酸化水素が、うまく消去されず、そこの近くに鉄や銅が存在すると、それらと反応して、今度はヒドロキシラジカルという極めて毒性の強い活性酸素が生まれます。ヒドロキシラジカルが発生すると、体内の脂質やタンパク質、DN Aなどと反応し傷つけます。反応すると、瞬時にヒドロキシラジカルは消えてしまうのですが、DNAが傷ついてしまえば、細胞が変異し、がん細胞に移行する可能性が出てきます。脂質やタンパク質が傷つけられれば、動脈硬化やアルツハイマー病など、老化による病気のリスクが高まります。

セレンを含むタンパク葺はグルタチオンを増やす

このヒドロキシラジカルの発生を防ぐには、SODとGPXがチームを組んで待機している必要があります。じつはスーパーオキシドは、SODがなくても、鉄と出合わなければ、自ら反応して5秒ほどで過酸化水素に変化するといわれています。そのため、過酸化水素を消去するGPXが、活性酸素を消去する最も重要な酵素ということになるのです。体内にGPXを増やすには、グルタチオンとセレンが必要です。グルタチオンは3種類のアミノ酸から作られる体内の物質で、体の中に入ってきた毒物を解毒する作用があります。またグルタチオンは、それ自身も抗酸化物質であり、フリーラジカルや活性酸素の反応を止める働きがあります。GPXはグルタチオンから作られます。

グルタチオンは消化器系からはほとんど吸収されませんが、セレンを含むタンパク質はよく吸収されます。したがって、グルタチオンやGPXを増やすためには、セレンを含む食品を積極的にとる必要があるのです。日本人の平均的なセレン摂取量はl 日100ugといわれています。普通の食事で、このくらいの量がとれていれば、正常なGPXが作られます。しかし現実に、これだけ摂取できているかは疑問です。

抗酸化ミネラルの「セレン」の摂取量が少ないと乳がん患者が多い

放射線から身を守るために、最も重要な抗酸化ミネラルの1つがセレンです。セレンは亜鉛とともに、体内の抗酸化酵素の主成分となっており、放射線による細胞の損傷を防ぐだけでなく、がんや老化予防、生活習慣病の予防にも有効です。

チェルノブイリ原発事故では、放射線による健康被害を防ぐために、セレンが用いられ、効果を発揮したといわれています。セレンが発見されたのは19世紀のことでした。その当時、スウェーデンのファルン鉱山から産出される黄鉄鉱を原料として、硫酸の製造が行われていました。
1817年、スウェーデンの化学者、ベルセリウスは、硫酸を製造する鉛室の底にできる沈殿物から、ある物質を見つけました。それはテルルという物質と似た性質をもっていましたが、実験を重ねるうちに別な物質であることがわかりました。
テルルは、ガラスなどの着色剤に用いられる鉱物で、現代では太陽電池や電子部品に使われています。いわゆるレアメタルの1種です。テルルという名前は、ローマ神話の地球の神テルスにちなんで命名されました。このテルルに似ていることから、新しい物質はギリシャ神話の月の女神セレネにちなみ、セレンと名づけられました。セレンもガラスの着色剤やコピー機の感光ドラムなどに用いられる鉱物ですが、強い毒性をもっており、現在では使用が制限されています。

こうしたセレンの毒性については、19世紀半ばには知られていたようです。

セレンが動物や人間にとって、欠かすことのできない必須微量元素(ミネラル)であることがわかったのは、比較的新しく、1975年のことでした。必須微量元素とは、鉄、マンガン、銅、亜鉛などの物質で、体内の酵素やタンパク質を作るのに不可欠の栄養素です。
体内で必要なのはごく微量なので、普通の食生活をしていれば、欠乏症の心配をする必要はありません。土壌に含まれるセレンは、野菜などに吸収され、体に取り込まれます。またセレンを含む飼料で育てた家畜の肉を食べることでも摂取できます。しかし、地域によっては、土壌中のセレンが少ない場所があります。

セレンが体内に不足すると、さまざまな病気につながります。セレン欠乏症は、血液中のセレン濃度が0.085~0.09ug/mlより低い場合を指します。中国の土壌中のセレンが少ない地域(0.011~0.02ug/ml)では、昔からカシン病(風土病心筋障害) やカシン・ペック病(骨関節炎の1種) があります。
また体内のセレンとがんの発症率は相関関係があり、土壌中のセレンが少ない地域ほどがんが増えることが、さまざまな研究によって明らかにされています。ドイツのシュライザ一博士の研究によると、血中のセレン濃度が低い地域ほど、女性の乳がんの死亡率が高いことが明らかにされています。