セレン濃度が低い地域で1日200㎍摂ったらガン発症率、死亡率ともに低下した

セレンのガン予防効果

セレンを多めに摂ると、がんの発症率が下がるは、さまざまな研究でも確認されています。アメリカ、アリゾナ大学のクラーク氏らは、土壌中のセレン濃度が最も低いアメリカ南東の居住者1312人に、セレンを1日200㎍ 投与しました。その結果、セレンの投与によって、すべてのがんの発症率が25%下がり、前立腺がんは42%、結腸・直腸がんは54%と減少し、すベてのがんの死亡率を51%減少させたことが確認されました。

その後もクラークらは、皮膚がん患者1300人以上を対象に、臨床試験を行いました。被験者をセレンを1 日200㎍与えた群と、偽薬を与えた群に分け、これを約7年間続けました。

その結果、セレン群は偽薬群と比べて、がんの発症率が42%に減少し、がん死亡率は50%以下になったことを報告しています。この結果から、がんの抑制には、セレン1日200㎍がすすめられます。
さらに1日300㎍のセレンの摂取で、肺がん、大腸がん、前立腺がんの発症率が大幅に減少したと報告しました。

中国の幽氏らは、セレン欠乏と慢性B型肝炎が風土病である中国青海省で、2万947人の住民にセレンを毎日30~50㎍与える大規模な臨床試験を行いました。
その結果、初期の肝がんの発症率が50%低下しました。また初期の肝がんになる危険性の高い集団の家族にセレンを1日20㎍または偽薬を与えました。その結果、セレンをとった群は、初期の肝臓がんが35%減少したと報告しています。

がん死亡率とセレンの血清中濃度は逆相関する

これも中国の研究ですが、李氏らは食道がんの死亡率が世界一高い中国良郷で、抗酸化食品として、毎日βカロテン、ビタミンEおよびセレン50㎍を5年間とってもらいました。

この研究期間で胃がんと食道がんを合わせた死亡率を調べたところ、セレンなどをとらない群の死亡率は32%でしたが、とった群の死亡率は13%に減少しました。

また李氏らは、中国での追跡調査で、食道扇平上皮がんと胃噴門部がんの死亡率と血清中のセレン濃度との間に逆相関があることを発見しました。それによって、がんにかかりやすい人の血清中のセレン含有量は78 ㎍/L以下の含有量であると定義されました。

多くの研究で、セレンを多めにとることで、乳がん、食道がん、胃がん、前立腺がん、肝臓がん、膀胱がんなどに効果があったことが報告されています。

セレンが、がんを抑制するのは、その強力な抗酸化作用によって、体内の活性酸素に細胞が傷つけられないよう保護するからです。
またセレンは免疫細胞の働きを強化することで、がんができるのを抑制し、同時にがん細胞の増殖を遅らせます。さらに、セレンには有機セレンと無機セレンがありますが、有機セレン(セレノメチオニン) は、がん細胞にアポトーシス(細胞死)を促す働きがあります。
また、がんは増殖するために、自ら新しい血管(新生血管)を作つて、栄養補給を行います。有機セレンは、がんの血管新生を阻害する作用があることも、よく知られています。