活性酸素は放射線で増加する特徴がある

放射線でDNAが損傷し、細胞ががん化

食べ物や水から人体に入った放射性物質(内部被曝)は、どのような経過で健康被害に至ってしまうのでしょうか?水の分子記号がH2ですがこれは水素原子(HbA1c)が2つ、酸素原子(O) が1つ結合しているということです。
HとOはそれぞれが1個の電子でペア(対を組み、水分子として、安定した結合をしています。そこに放射線を照射すると、O-H結合が切れて、対になっていた2個の電子が引き離されます(不対電子)。

それによって水分子は不安定になり、別な分子に変化します。この変化した分子のことをフリーラジカルといいますが、再び電子のペアを作ろうと、ほかの分子から強引に電子を奪う過激分子がいます。こうしたフリーラジカルは反応性が高く、細胞の中にある遺伝子を傷つけるものがあります。

人の体は60兆個もの細胞で構成されています。ほとんどの細胞には、寿命があり、新しい細胞と入れ替わります。その際、古い細胞と同じ細胞が作られるのは、DNAに元の細胞の情報が書き込まれているからです。
DNAは2本の鎖が、らせん状に絡み合った形をしています。
放射線によって、1本だけ切断されることもありますし、2本とも切断されることもあります。1本だけ切断された場合は、もう1本を手本にして、傷ついた鎖を元どおりに修復できます。
しかし、2本とも切断されたときには、手本がないので、修復がむずかしく、誤りが多くなります。それによって、細胞に突然変異、染色体異常、細胞死、がん化などが生じます。

活性酸素の過酸化反応が病気の元凶に

活性酸素というのは、生体の酸化障害を引き起こすフリーラジカルの総称です。ヒドロキシラジカルも、活性酸素の一種です。生体の酸化障害とはどのようなことでしょう。調理用抽が古くなると、不快な臭いを放ちます。これは油が酸化したためです。これと同じようなことが、体の中でも起こるのです。

放射性物質が体の中に入ると、活性酸素が多く作られます。活性酸素は、細胞膜の中にある脂質から電子を奪い、それが連鎖反応して活性化し、細胞を酸化させていきます。これを「過酸化反応」といいます。それによって、がんだけでなく、動脈硬化、糖尿病、アルツハイマー病、アレルギー炎症性皮膚疾患、などの疾患が引き起こされる危険性があります。
しかし、活性酸素による過酸化反応は防ぐことができます。人間の体には活性酸素を消去する酵素が備わっていますし、食品の栄養素の中にも、活性酸素を消去する働きをもつものがあります。それらを積極的にとることによって、活性酸素の書から身を守ることが可能になるのです。