食べ物による放射物質の内部被曝は防ぐことができないので累積被爆量は増え続ける

チェルノブイリ原発事故で放出された放射性物質の1つにヨウ素131があります。ヨウ素は甲状腺に蓄積されやすく、また甲状腺は放射線による障害を最も受けやすい器官の1つです。食品にヨウ素が混入し、それを食べた地元住民の多くが、甲状腺障害を発症しました。とくに高レベルのヨウ素を含んだ牧草を食べた牛の牛乳を飲んだことにより、子どもの甲状腺がんが、かなり増加しました。

また長期的に問題となるのは、セシウム137(です。半減期が約8日のヨウ素に対し、セシウムは約30年です。また大気中に放出されたセシウムは遠くまで運ばれ、食品に取り込まれやすいという特徴をもっています。土壌を汚染したセシウムは、野菜や家畜の肉、牛乳などの食物を通して、人々を長期にわたって被爆させました。
被爆には外部被曝と内部被曝があります。外部被曝は体の外から放射線を浴びることです。

方、内部被曝は、放射性物質を吸い込んだり、飲み込んだりして、体内に取り込み、それによって被曝することです。外部被曝の場合、ガンマ線は物質を通り抜ける性質が強く、エネルギーが高いので、体内深部の細胞にも影響を与え、人体への影響が大きいことがわかっています。

一方、私たちが今後も注意しなければならないのが内部被曝です。政府が定めた「暫定規制値」を超えた福島県産のタケノコや梅などの食品は出荷停止措置がとられました。したがって、私たちの口に入る可能性は低いでしょう。
しかし、規制値以下の食品でも、放射線量は体内に蓄積していくので、累積被曝線量は少しずつ増えていきます。それによって、大なり小なり体に異変が生じる可能性は否定できません。また原発事故で海水に流出した放射性物質は、植物プランクトン→小型魚→中型魚→大型魚へと蓄積されていきます。そして、食物連鎖のピラミッドの上に行くにしたがって、蓄積される放射性物質の濃度は上昇していきます。なお、政府は規制値の新基準を設け、穀類、野菜、肉、魚などは100ベクレル、乳児用食品と牛乳は50ベクレル、飲料水は10ベクレルとなりました。

これらの基準値は、広島・長崎原爆被爆者の疫学調査から求められています。それによると、放射線の長期的な影響は、30才で1000ミリシーベルト被曝した場合、男女平均して70才で固形がん(白血病以外のがん) で死亡する頻度が約1.5倍増加することからきています。しかし、死亡リスクは、100ミリシーベルト以上では被曝線量に正比例していますが、それ以下ではどういう関係になっているかわかりません。あくまで外部被曝の影響によるもので、内部被曝にまで適用できるのかは、疑問視されています。