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ダイエットの検証その2 肥満がすすむ段階

なぜ、太ってしまうのか?

肥満は、体脂肪が必要以上に蓄積されている状態ですが、どのようにして身体に脂肪が蓄えられていくのかはわからない人が多いです。

毎日、私たちがなにげなく食べている食べ物は、体内でいろいろな姿に形を変えていきます。そしてこれらは細胞に補給されたり、エネルギー源となって私たちが身体を動かすために使われるわけですが、使われなかった過剰な分は、分解と合成を繰り返して最終的に体脂肪となって蓄積されてしまうのです。

身体のなかで脂肪が蓄積される場所は、肝臓、血液、脂肪組織ですが、肝臓や血液には少ししか脂肪をためておくことができません。その結果、余った脂肪は、脂肪組織にどんどんためこまれることになります。その脂肪組織が多いのは、お腹、太もも、腰と背中などの皮膚の下や内臓のまわりなどです。

これが、ダイエットする人にとって、にっくき敵である皮下脂肪や内臓脂肪になるのです。太った証拠として残るのが体脂肪ですが、「体脂肪」の原因はいったいなんなのでしょうか?

食べ物のなかに含まれる「脂肪」「炭水化物(糖質)」がそれです。では、どのようにして、脂肪、炭水化物(糖質) が身体のなかで体脂肪になっていくのでしょうか。次に太るメカニズムを探りましょう。

食べ物はこうして体内に吸収されていく

食べ物が口に入ると、口、食道、胃、腸などの消化器官で消化酵素によって消化され、食べ物はさまざまな形に分解されます。消化された物質に含まれていた栄養素は、小腸を通過中に、腸壁の細胞から吸収され、血管に入り、肝臓へ送られます。消化されずに残った物は、大腸に入り、体外へ排泄されます。食べ物が、小腸を通過して大腸に入るまで、健康な大人で約8~10時間かかります。

脂肪のたまる仕組み

肉や魚、食用油などの食べ物に含まれている脂肪は、小腸でリパーゼという酵素によって脂肪酸とグリセロールという物質に分解されます。そして、腸から吸収された後に中性脂肪に変わり、血液中に送られます。

血中に送られた中性脂肪は、ふたたび分解されて肝臓に送られ、エネルギーとして分配されます。ただし、この過程で肝臓に送られる量が、肝臓で処理しきれないほどの量になるそして、血中脂肪が増えると血管壁に存在する「リボ蛋白リパーゼ」という血液中の脂肪を取りこむ役割をする酵素が活性化して、脂肪細胞に取りこまれることになります。

炭水化物(糖質)のたまる仕組み

ご飯やお菓子などに多く含まれている炭水化物は、いくつかの種類に分けられます。果物やハチミツに含まれる糖分は「単糖類」と呼ばれ、簡単に消化、吸収、代謝されます。上白糖などは「二糖類」と呼ばれ、米や小麦などの穀物類に含まれる「多糖類」と呼ばれるデンプンよりも消化されやすくなつています。

食べ物に含まれる炭水化物は、消化酵素によりブドウ糖に分解されて、小腸で吸収された後、血液によって体中に運ばれ、脳の組織や神経組織、筋肉によって燃料として使われます。血管内に入ったブドウ糖のことを血糖(血中グルコース) と呼びます。血糖は、エネルギー源として全部使われてしまえば太る原因にはなりません。しかし、血糖が余ってしまうと、最終的に中性脂肪に形を変え、蓄積されてしまうのです。

糖が血液中に入って血糖値が上昇すると、膵臓からインシュリンが分泌されて血糖と結びつき、グリコーゲンに形を変え、肝臓や筋肉へ蓄えられます。そして血糖値を下げるのです。しかし、グリコーゲンの貯蓄量には限度があり、それほど多くは蓄えられません。したがって、過剰な血糖は、脂肪細胞へ送られ中性脂肪として蓄えられることになります。

標準体重と適正体重について

20011年1月に発表された国民栄養調査によると、肥満と判断された男性は、30~60代で約3割。女性については、60代だけが3割を超えただけで、20~30代女性は肥満者が少なくなっています。

BM Iが18.5未満のやせている人が2割を占め、これは20年前にくらべると約2倍に増えています。肥満の基準として一般的に使われているのが、BMI(ボディマスインデックス)指数です。BMIは、1997年にWHO健機関 が発表した体格指数で、25を正常としています。(世界保18・5〜しかし、人種によって体型などが違うため、1999年に日本の厚生労働省が全国15万人を対象に調査をしました。
その結果、BMIが25以上で高血圧、高中性脂肪血症、27以上で糖尿症、29以上で高コレステロール血症を発症する危険率が2倍になることがわかりました。

また、約5000人の検診時データを分析した結果、もっとも疾病率の少ないB MI の債は、男性で22.2、女性で21,9であったことから、日本肥満学会は医学的にみて男女共BMI22を標準としました。

しかし、BMIが22以下であればダイエットする必要がないのでしょうか?たとえば、20代前半まで身長が160センチメートル、体重が48 キログラムで、BMIが19 であり、体調は良好だという女性が、20代半ばになってBMIが22になったとしたらどうでしょう。

身長は変わらなかったとして体重だけをみると、56キログラムになっていることになります。数年問で8キログラムという体重増加は、身体にとっても大きな影響を及ぼしているはずです。とくに、運動習慣がなく、数年問でBMIが3ポイント増えたということは、明らかに体脂肪だけが蓄積されたことになります。

この場合は、加齢を考慮したとしても、4~5 キログラムは減量すべきでしょう。っまり、人にはそれぞれ「適正体重」があり、この女性の適正体重はB M I19だったと考えられます。適正体重とは、その人にとってもっとも体調良く日常生活を送ることができる健康的な体重です。健康的な身体とは過剰な体脂肪がなく、丈夫な骨、身体を支えて姿勢を保ちラクに移動することができる筋肉、日常活動が負担なく、疲労の回復も滞りなくできる心肺持久力、関節をスムーズに動かすことのきる柔軟性が基本となります。
適正体重は人によってそれぞれ違いますが、もっとも長い期問、ひじょうに体調がよいと実感できる時点の体重を目安にするとよいでしょう。
急激に体重が増加したり減少したりした場合は、何か原因があるはずですから、よく見極める必要があります。

最近は、かくれ肥満なども急増しているので注意します。

ダイエットの検証その1 これまでのダイエットが失敗した理由

なぜ今までのダイエットはうまくいかなかったのか?

「とにかくやせたい!」「スリムな体型になりたい」そう願って、これまでにもいろいろなダイエット法を試してきた方も多いと思います。
少しでも体重が減るとダイエットに成功したような気になって、安心してダイエット前の生活にもどると、また太ってしまう。「あのダイエット法はリバウンドがひどいくて…」とまた別のダイエット法にトライ。

体重が減って「今度は成功か」と思っていると、また元の体重にもどってしまい、結果は同じ。

「なぜ、私のダイエットは成功しないんだろう?」そんな悩みを抱えている人も少なくないと思います。

減量作戦の失敗の理由は、ただ1つ、問違った方法を信じていたからです。この事では、ちまたにはびこるダイエット法のうわさを検証してみようと思います。ダイエットにまつわるウソ、誤解、偏見を一刀両断しないと、真の成功へは到達できません。

ダイエットをはじめる前に、身体の働きや太るしくみを知ったうえで間違った知識は一掃しましょう。

カロリー計算の落とし穴

太る原因は、食べた摂取カロリーがエネルギーとして全部消費されずに、身体のなかに余ってしまうからです。
「摂取カロリーと消費するカロリーの収支バランスをマイナスにすればいい」これが、いままでずっといわれてきたダイエットの基本です。この基本によると、「食べた分のカロリー<商品カロリー」とするには、2つの方法があります。

まず1つめは、たくさん運動してカロリーの消費量を増やすこと。もう1つは、最初から食べ物を少なくとって摂取カロリーを減らすことです。

1つめの方法で一般的なのは、ウォーキングやスイミング、エアロビクスなどの有酸素運動です。

たとえば、体重50キログラムの女性がバナナ1 本(約100グラム= 86キロカロリー)を食べたとき、そのカロリー分をウォーキングで消費しようとすると、約30分間( 87キロカロリー)必要とします。

「バナナ1 本のために、30分間のウォーキングが必要」と考え、ほとんどの人は「それなら、バナナ1本ガマンしたほうがいい」となってしまいます。

そして、「摂取カロリーを減らせばやせられるなら、食事を抜こう」という食事制限ダイエットを試みる人が圧倒的に多くなるのです。

このようにカロリー計算を基本にした食事制限が、いままでのダイエットの基本になっていました。しかし、食事制限というつらい思いをして、それを確実に実行しながらも、結局やせられなかった人もいるはずです。

私には人生の大事な時間を、そんなにつらい思いをしながら過ごすことが決していいことだとは思えません。そこで、「カロリー計算だけを信じてダイエットしていいのか」ということを、もう一度考え直してみましょう。

カロリー計算でダイエットを試みる人は、食事の摂取カロリーと運動の消費カロリーとのバランスで、帳尻を合わせようとします。
しかし、このカロリーの数字も、実態は、概算にしか過ぎないのです。

カロリー計算の落とし穴

まず、食事で摂取するカロリーは、人によって吸収率が異なります。あなたの周りにも、同じ食生活をつづけていてもすぐに太る人もいれば、体重がまったく変わらない人もいるでしょう?

このように吸収率に個人差があるのに、カロリー計算だけでダイエットを成功させようというのは無理があります。また、食べたものを身体に吸収するためには、エネルギーを発散させなければいけません。

食事をすると、身体が温まったり汗をかいたりしますが、これは食べ物で摂取したエネルギーを身体に吸収するときにエネルギーが発散されて、熱を出しているのです。ですから、本当の摂取カロリーを出すには、食べたときに発散したエネルギーを差し引かないといけません。
ただし、この発散するエネルギーにも個人差があります。あなたの周りに食べたらすぐに汗をかく人もいれば、いくら食べても涼しい顔をしている人もいるでしょう。

一方、運動で消費されるカロリーは、運動中に発散されるエネルギーだけではありません。実際には運動後も熱くなった身体からエネルギーの発散がしばらく続きますから、その分をプラスしなくてはなりません。

冷え症の人はなかなか身体があたたまらないですし、筋肉質の人はエネルギー発散が多いというように、これにも個人差があります。
食事での摂取カロリーと運動による消費カロリーだけで単純にバランスをとったつもりで食事を制限するダイエット法には、誤差が大きく実際にはかなりの個人差が出るということがいえます。つまり摂取カロリーや消費カロリーを単純計算するだけでは、本当の意味でのダイエットの成功にはほど遠いのです。

ごはんとケーキは胃に入れば同じ

ダイエット中のランチで「ライスよりパン」あるいは「ご飯なら小ライス」を選びながら、「ご飯をこんなに減らしているんだから、少しくらいならチョコレートやケーキなどのお菓子を食べても大丈夫なはず」と思って食べている人もいるでしょう。ご飯などの主食を減らすと、いかにもダイエットしているような気分になります。

しかし、それは大きな勘違いで間違いです。炭水化物が多く含まれたご飯やパン、ケーキやチョコなどの甘いものも、いったん身体のなかに入ってしまうと、糖質という同じものになります。糖質は身体の基本的なエネルギー源で、通常だと摂取エネルギーの約6剖を占めます。

カロリーだけを考えると、ご飯を茶碗に軽く1杯分とチョコレート1片とがほぼ同じです。ただ、ご飯などの炭水化物は、消化吸収がゆっくり進むので、腹持ちよく、すぐにはお腹がすきません。
一方、甘いものは、体内に素早く吸収されるため、満腹感がつづきにくく、すぐにお腹がすいてしまいます。そのため、過食につながってしまううえに、栄養素もご飯にくらべると乏しいのです。
食事量を減らすとお腹が減りますから、その分摂取しているカロリーも減ったような気分になりますが、代わりに食べたものが適当でなければ減らした意味はありせん。このようにダイエット時には、食べる量よりも食材の質がポイントなのです。

また、「前の晩にたくさん食べたので、朝食を抜く」というように食事の回数を減らすと、ひじょうに空腹な状態で次の食事をすることになり、ドカ食いのモトになります。

空腹の状態で食べるとインシュリンがたくさん分泌され、食べたものを脂肪としてどんどんためようという働きが促されてしまいます。
つまり、食事を抜くと、1回の食事で食べる量が増え、それが体脂肪として身につきやすくなってしまうのです。食事の基本は、1日3回。毎日ほぼ決まった時間に食べるのが理想です。

食事制限が逆効果で痩せにくい体質をつくっていた

食事制限をすると体重が減りつづけ、最初の1ヶ月でみるみるやせ、思わず、ダイエットが成功したように感じます。体脂肪が減っているのかと思いがちですが、その間に身体のなかでは、こんなに危険な変化が起こっています。

食事制限すると最初はどんどん体重が減っていきますが、ある時期がくると体重の減少はストップします。身体は食べる量が少ないと、エネルギーが入ってこないのを感知し、少ないエネルギーで身体全体を動かせるように調整されるからです。

人問が食べ物で摂取したエネルギーを消費する方法は、3つあります。1つは、仕事や通勤、スポーツなどで身体を動かして消費される「生活活動代謝」、2つめは、食事した際の消化・吸収にともなって熱を発散するときに消費される「食事誘導性体熱産生、
3つめが、代謝(安静代謝)」です。

人間は起きている問、目で物を見たり、手や指を使ったり、歩いたりして身体を動かします。また、眠っている問にも心臓や内臓、呼吸はストップせずに、規則正しく動いています。このような動きにも、エネルギーが使われているのです。

これらの生きている人間のベーシックな動きのために使われるエネルギーが、「基礎代謝」です。

基礎代謝は、身体を維持するために消費される最小限のエネルギーですが、一日の全消費エネルギーの約60 パーセントを占め、エネルギー消費の3つのルートのうちで、もっとも消費される割合が多いのです。

そんなエネルギー消費の要となる基礎代謝ですが、食事制限をすると、基礎代謝も低くなってしまうのです。

基礎代謝が低くなった状態で、さらに食事制限をつづけると、体内に蓄えてあった体脂肪をエネルギーとして使おうとします。体脂肪をエネルギーに変えるには、肝臓で糖分からつくられるグリコーゲンが必要なのですが、食事制限をすると、グリコーゲンの量が少なくなってしまうのです。

では、どうするかというと、筋肉組織からグリコーゲン捻出するのです。これを「糖新生」といいます。
筋肉組織からグリコーゲンを捻出することによって、筋肉の一部が分解され、身体全体から少しずつ筋肉が減ることになります。食事制限をすると、筋肉が減ることが、重大な問題なのです。

基礎代謝は、身体のいろいろな部分で行われますが、もっとも多く行われるのが筋肉です。筋肉が多いほど基礎代謝は高まりますから、食事制限で筋肉を減らしてしまうと、基礎代謝が減り、消費されるエネルギーも減るという悪循環に陥ってしまいます。

つまり、食事制限をすると、多くのエネルギーを消費する筋肉組織を減らしてしまい、身体全体が消費するエネルギーまでも減ることになります。そして、簡単にはやせられない省エネ体質、つまり、やせにくい体質をつくってしまうのです。

リバウンドが起こる理由

極端な食事制限をすると、筋肉が減ってしまいます。筋肉は脂肪よりも重いため、筋肉が減れば日に見えて体重は減ります。よって、いかにもダイエットが成功したかのように感じます。

しかし、筋肉が減ると身体全体の代謝も減るため、身体が冷え、血液循環も悪くなります。それと同時に、身体は少ない食べ物から必要な栄養を必死で吸収するのに慣らされていきます。

そこで、体重が減ったからといってダイエットをやめて、以前の食事と同じ量にすると、みるみるもどってしまい、逆に元の体重よりも増えてしまうこともあります。これがリバウンドです。
少量の食べ物でなんとか運用できるようになった身体にとって、ダイエット前の食事は必要以上に大量な食べ物になってしまうので、最終的に体内で消費されずにm 余ったエネルギーが体脂肪になり、リバウンドが起きてしまうのです。

また、食事制限で筋肉が減っているため、ダイエット前よりもエネルギlを消費してくれる場所が減っています。この2つのマイナス要因によって生まれた余分なエネルギーは、すべて体脂肪に変わってしまいます。

ここで問題なのは、ただ元の体重にもどったというだけでなく、さらに悪いことにダイエット前よりもやせにくい体質になっていることです。

一度リバウンドすると、次にダイエットをしても、なかなかやせることができません。やせないからといって、食事制限を繰り返すと、さらに筋肉は減り、基礎代謝が落ち、ますますやせにくい体質になっていきます。このような食事制限を何度も行い、リバウンドを繰り返すことを「ウェイトサイクリング」といいます。これは、身体に大きなダメージを与えるとともに、太りやすく、やせにくい体質をつくってしまうのです。

単品ダイエットの間違い

ゆで卵やこんにゃく、トマトだけを食べる単品ダイエットというダイエット法がありましたが、単品ダイエットは、その食べ物ならいくら食べてもいいから食事制限ではないし、不足している栄養素をサプリメントなどで補うから大丈夫と思われていたようです。
しかし、たとえば、トマトにはビタミン類などがたくさん含まれているとはいえ、トマトだけでは身体にとって必要な栄養素がバランスよく摂取できるわけではありません。
ビタミンだけでは、身体にとって不十分で、栄養失調を招くことにもなりかねません。人間の身体にとって必要な3大栄養素は、「炭水化物」「脂肪」「たんばく質」です。

それに加えて、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素がそろってはじめて、お互いにうまく作用しあい、健康な身体がつくられるわけです。
かたよった栄養素だけでは、健康的なダイエットはできません。また、サプリメントはあくまでも栄養補助のためにあるものです。基本となる栄養素が不足しているのに、補助的な栄養素ばかりをつぎ込んでも効果はありません。

体脂肪は悪ではない

「体脂肪は身体にたまった不要なもの」ではありません。体脂肪の減らしすぎは禁物です。

なぜなら、体脂肪は白色脂肪と褐色脂肪があり、それぞれ身体にとって重要な役割を果たしているからです。1つは、エネルギー貯蔵の役割です。
炭水化物やたんばく質をためこむよりも脂肪でためこんだほうがエネルギー効率がよいため、人の身体には脂肪を蓄える機能きがつちかが備わっています。

これは、人類の長い歴史のなかで飢餓と闘いながら培われた身体のシステムで、災害などで食事が満足にとれないような、いざというときに、体脂肪として蓄えられたエネルギーが役に立つのです。

体脂肪のなかには、体内の熟産生をコントロールして体温を一定に保つ体温調節の役割も果たしている褐色脂肪やエネルギー貯蔵のほかに、転んだり、ぶつけたりといった外部からの衝撃から身体を守るクッション材の役目もする白色脂肪が存在します。

体脂肪は増えすぎると肥満体型となり、ルックスがあまりよくないだけでなく、糖尿病や高血圧などの病気の原因にもなりかねません。
でも、減らしすぎもよくないのです。最低でも、男性では体重の10%程度、女性では15%程度の体脂肪率を保つ必要があります。

女性の体脂肪率は男性よりも重要

肥満の目安として、体脂肪率でいうと、男性は25%以上、女性は30%以上が肥満の仲間入りとされています。

一般的になぜ女性のほうが、体脂肪が多いのでしょうか? これは、女性ホルモンとの関係があげられます。女性は思春期を過ぎると女性ホルモンのせいで、バストがふくらみ、腰まわりに脂肪がついて丸みを帯び、女性らしい体型になります。

これは女性が子供を産むための準備としてしかるべき身体つきの変化です。だから、女性は男性より体脂肪が必要なのです。しかし、困ったことに、思春期に女性らしい身体つきになっていくのを、ただ太っていると勘違いして、食事制限をしてしまう女性がいるようです。
いまやダイエットといって、給食を食べない女子小学生さえいるといいます。とくに、思春期は一生から見ると、身体づくりにとってひじょうに重要な時期です。

この時期に極端な食事制限をすると、栄養が不足し、骨がきちんとつくられなくなり、折れやすくなります。また、女性ホルモンがきちんと分泌されずに、女性としての機能がきちんと働かない身体になってしまうと、成人にななってから子供を産みたいと思っても、産めない身体になってしまうことも考えられます。

ある研究によると、体脂肪率が21~24%にならないと初潮が来ないというデータがあります。そして、正常な月経を維持するためには、最低でも17%以上の体脂肪率を保つ必要があります。また、食事を食べられない、食べても吐いてしまうといった拒食症は、思春期以降にあらわれる場合が多く、その多くは女性だというデータがあります。

拒食症は女性ホルモンはもちろん、身体全体に影響を及ぼします。拒食症になると、十分な栄養がとれないうえ、食事から脂肪分をとることができません。すると、体内の脂肪組織から脂肪分が出てきて肝臓に入ります。食事量が少ないために肝臓をきちんと働かせるための栄養が足りず、その結果、脂肪をうまく処理できなくなり、肝臓に脂肪がたまっていくのです。

これを脂肪肝といいます。脂肪肝についてはこちら。
極端な食事制限や単品ダイエットでも、同じことが起こります。やせようと思って食べなかった結果、脂肪肝になっては、本末転倒です。
いくらやせていてスタイルが美しくても、身体の機能が正常に働いて健康でなければ意味がありません。拒食症もさることながら、思春期の極端な食事制限は、女性のその後の一生に大きなリスクを背負うことになります。

リンゴ型肥満と洋なし型肥満の違い

体脂肪には、内臓にたまる内臓脂肪と、皮下にたまる皮下脂肪があります。

内臓脂肪型の人は、外見はさほど太って見えず、上半身にボリュームがあります。このシルエットから、「リンゴ型肥満」と呼ばれています。

内臓脂肪型肥満は病気を誘発し、糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化、尿路結石などの病気になりやすくなります。

それに対し、お腹や腰、太ももといった下半身の皮下に脂肪がついているタイプは、その体型から「洋ナシ型肥満」と呼ばれます。下半身についた脂肪は、長年にわたって少しずつたまっていくため、1度、増えると減らすのが困難です。しかし、分解されても肝臓に取り込まれることなく体内をへいはつ循環するため、内臓脂肪と違って、合併症を併発する可能性は少ないようです。

男女の肥満のタイプについて「男性はリンゴ型、女性は洋ナシ型」とよくいわれます。その理由は、ホルモンなどの影響で、男性には内臓脂肪がつきやすく、女性は下半身や太ももに皮下脂肪がつきやすいからです。しかし、最近は女性でもいっけん太って見えないのに、内臓脂肪の多い「隠れ肥満」が増えています。

体重だけではわからないわからない真の「かくれ肥満の正体

女性の飲酒の増加やグルメ志向など、食事内容も食習慣も男女差がなくなってきているうえに、外食やファーストフードなどのかたよった食事や、食品添加物などの影響も考えられます。

太りやすい体質

同じものを食べても太りやすい人と太りにくい人がいます。大食いなのにやせている人や運動しなくてもスリムな人もいますし、少食なのに太めの人やいつも激しい運動をつづけているのに太っている人も少なくありません。

肥満は、なんらかの病気によって太ってしまう「症候性肥満」と、食べすぎや運動不足などの生活習慣が原因で太ってしまう「単純性肥満」に分けられます。

一般に肥満のほとんどは「単純性肥満」といわれています。病気が原因の「症候性肥満」でないかぎり、やせるための条件は変わりません。

太りやすいかどうかは、脂肪を蓄える細胞の数にも関係があります。脂肪細胞は、乳児期から思春期にかけて増加していきます。子供のころに肥満だった人は、すでに7歳前後で成人と同様な脂肪細胞の数があり、また、脂肪細胞の大きさもそれ以降どんどん大きくなっていきます。

ここで問題なのは、脂肪細胞の数です。脂肪細胞の大きさは、かなり努力すれば元の大きさにもどせますが、数が増えてしまっていると、減らすことがむずかしいということです。
思春期までに増えすぎた脂肪細胞は、ふつうの脂肪細胞よりも体脂肪を蓄えやすいため、細胞自体を小さくする努力をするしかありません。

また、脂肪細胞に脂肪を蓄積しすぎると、細胞は分裂して、その数を増やしてしまい、そしていったん増えた脂肪細胞は減ることはありません。

もう1つ太りやすさに関係するものに、DIT(食事誘導性体熱産生) があります。これは、食事をした後で食べ物を身体に吸収する際に発生する熱のことです。

食後に身体が温かくなったり、汗をかいたりというようなことがあります。この熱を多く発散する人は少ない人にくらべると、エネルギー消費が多いため、太りにくい体質といえます。181 この熱は、冷たいものより熱いものを食べたほうがたくさん出ます。また、脂肪の多い太ったタイプよりもがっしりタイプの人のほうが、また、肥満者よりも適正体重の人のほうが、熱を多く発散します。

DITは食事前の運動でより増やすことができることもわかっています。DITは朝がもっとも高く、昼、夕方にかけてどんどん下がり、夜から深夜にはもっとも低くなります。

したがって同じ食事でも、夜にお酒を飲みながら食べたり、夜食を食べると、太ってしまうのです。このように太りやすい体質は確かにあります。が、ただ食事だけではなく、さまざまな要因が考えられるため、その人自身の体質などをふまえたうえで、ダイエットを行うべきでしょう。

肥満は遺伝するか

太りやすい体質をつくる食事以外の要因の1つに、遺伝子があります。肥満に関係する遺伝子はいくつか発見されていますが、その遺伝子を持っているから、必ず太るというのではなく、その遺伝子を持っていると太りやすいということがわかっています。

つまり、遺伝するのは、太りやすい体質なのです。さらに、1つの遺伝子の関与はたいしたことがなくても、複数の遺伝子が組み合わさると、肥満の確率は高くなってしまうのです。

やせたいと思っていても、少し食べただけでも太ってしまう人もいれば、やせ型でいつもドカ食いをするのに太らない人もいるのはこの体質が原因の1つといえます。だから、太りやすい遺伝子を持っている人と持っていない人では、同じダイエット法を試みても成果が違ってきます。

たとえば、脂肪の分解を促すβ3アドレナリン受容体に異常をもたらす遺伝子があります。これは、別名「倹約遺伝子」ともいわれ、β3アドレナリン受容体の働きである脂肪分解と熱産生の促進を抑えてしまうというものです。

実際には、この遺伝子を持つ人は、持っていない人にくらべ、基礎代謝が約2000キロカロリー少ないといわれています。この遺伝子の異常は、あらゆる人種に存在しますが、とくに日本人は欧米人よりも多く、3人に1人の割合で存在することもわかっています。

肥満遺伝子の研究は日々進んでおり、現在、肥満外来で遺伝子診断ができるようになりはじめています。肥満遺伝子を持つ人は、持っていない人よりも食事などのコントロールに注意が必要になってきます。肥満には確かに遺伝も大きく関係していると思われますが、一般には遺伝よりも環境の影響が大きいともいわれています。

アメリカのある研究で、一卵性双生児を別々の環境で20年間生活させた実験があります。いつもたくさんの食べ物を食べ、あまり運動しないような肥満環境におかれたもう一方は肥満になりました。

ふつうの食生活の環境に置かれたもう一方は、正常な体重となりました。その後、2人とも肥満の環境に置かれると、両方とも肥満になったのです。一卵性なら遺伝子や体質など、かなり似通っていると考えられます。

この結果から、肥満には環境が大きく関係していることがわかります。ほかに、「子供が養子であっても親が肥満であれば肥満になる」、「夫婦の一方が肥満だと配偶者も肥満になる」、「飼い主が肥満だと飼い犬まで肥満になる」というアメリカの報告もあります。

おおかたの研究者の間では、肥満の原因は遺伝が3割、環境が7割といわれています。肥満は遺伝との関係よりも生活習慣とのほうが関係が深く、太った家族と同じような食事で育つ食習慣によるというのです。そのようなことから、遺伝子を気にするよりも、食習慣を見直すほうが、はるかにダイエットの効果があがるといえます。

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