糖尿病を克服するには

私はあるときから、同じ日本人の2型糖尿病でも、インスリンを分泌する膵臓のβ 細胞が徹底的に破壊されてしまった、1型糖尿病(膵臓にあるβ 細胞がリンパ球によって破壊され、インスリンをほとんど分泌できない糖尿病。「インスリン依存型糖尿病」ともいう)に限りなく近い糖尿病と、ただ体の大きさにインスリンの量と働きが追いついていないだけの糖尿病とがあるのではないかと、考えるようになりました。

1つ目は、インスリンを出すことができない。2つ目は、インスリン抵抗性(インスリンの働きが悪いこと。「インスリンの感受性が低い」ともいう) のためにインスリンが効かない。この2 つの要素の組み合わせにより、糖尿病は大きく次の3 つのタイプに分けられます。

  1. インスリンがほとんど出ない→ほとんど1型の糖尿病
  2. インスリンは少し出るけれど、ほんの少し太っただけで肥満の程度が軽くてもインスリンの働きが足りなくなる→日本人型2型糖尿病
  3. インスリンはたくさん出るけれど、圧倒的にインスリンが働きにくくて(すごく肥満の程度が強くて)、インスリンが効かない→欧米人型2型糖尿病

このようなわけで、日本人はBMI23程度の、肥満とはいえないくらいのほんの少しの肥満傾向でも、ほんの少しインスリンが出にくくなるだけで、糖尿病が発病するしくみなのです。高脂肪食のシャワーを浴びると、もともと膵臓機能が脆弱で、インスリン分泌能力が低い日本人は、インスリン抵抗性を生じやすい。インスリン抵抗性が高くなると、体内にあるインスリンの量が同じでも血糖の細胞への取り込み・利用が低下し、血糖値が下がりにくくなります。

その結果、血糖値を正常にするために、より多くのインスリンが必要になります。この状態(高インスリン血症) が長く続くと、膵臓が疲れきってインスリン分泌機能が低下し血糖値が上昇し、「糖尿病」を招きます。日本の由緒正しい糖尿病家系に生まれた人ほど、膵臓は疲弊して危険な糖尿病に陥りやすくなります。では、日本人はこのあとどのくらいの年月、この高脂肪食によるインスリン抵抗性との闘いを続けなければならないのでしょうか。

これについては私自身たいへん興味があったので、調べたところ、非常に面白い研究データを見つけました。それは日本人と日系人のインスリン分泌を調べたデータです。この研究は遺伝的には純粋な日本人である日系三世を中心とした調査になっており、ハワイの日系人では、日系三世、つまり三世代目くらいには、欧米人に近いインスリン分泌能力を獲得するようです。

しかし、日本は世界でも最高峰の高齢国家です。しかも、依然として少子化傾向が続いています。三世代もあとの日本を考えると、この国を支える若い人は本当に少なくなっているでしょう。真の意味で国の力、国力である人口は日本ではこの先さらに高齢化し、社会を支える中年や青年はこの国民的血管病にさいなまれるのです。

私自身の話をすれば、私はどちらかというと太れる糖尿病、つまり、いくらか膵臓のβ細胞が生き残った、どちらかといえば欧米型の糖尿病です。しかしこのままでは、私の遺伝子を受け継いだ子どもたちは、私の太る生活習慣を見事に引き継いで、放置すればそのうち140kgの巨漢になること間違いありません。

私が、血圧管理、体重管理、食事改善という3つの習慣に取り組んだいちばんのメリットは、私自身が私の思い違いに気づき、あの巨大な体から普通の体に変わる姿を、私の子どもたちに見せることができたことです。子どもたちを守るために、そして、少しでも健やかな自分の未来のために、日本人に適した生活のスタイルと方法を一生懸命考え、子どもたちに残していく。私たちと子どもたちの、そして日本の未来は明るいと思います。

野草酵素を飲んだらたったの4ヶ月ででヘモグロビンA1Cが8.9から6.0%に

糖質より危険なのは脂質(高脂肪食)

糖尿病はその名前のとおり、過剰にとりすぎた糖が尿に出る病気です。したがって糖尿病は、糖質の摂取量が増えたことで爆発的に増加したという認識が世の中に浸透しています。それは、本当のことでしょうか。

ここには誤解が2つあります。まず、いまから65年前、1946年(昭和21年)は糖質の摂取量が80.6% でした。ところが2000年(平成12年)には57.5 %にまで減少しています。しかしその糖質の中身が、現代と一昔前ではまったく違うのです。

昔は、糖質の中心は穀類とイモ類でした。多くはたくさんの糖がつながった多糖類で、消化・吸収されるのに時間がかかります。したがって血糖値も緩やかに上昇し、それを取り込むインスリンもゆっくり分泌されました。

ところが現代では、砂糖のように精製された糖や、果物に含まれる果糖のような少量でも簡単に吸収される糖の摂取が増えてきました。そのため、食後急激に血糖値が上昇する「グルコーススパイク」を起こしやすくなりました。

このグルコーススパイクが血管にダメージを与えて、心筋梗塞や脳梗塞など、大きな血管の病気の引き金になります。もう1つ深刻な問題は、脂肪の摂取量です。日本人は古代から脂肪摂取量が少なく、ここ1万年くらいの間は10~14g程度であっただろうと推察されています。ところがいまや、欧米人も顔負けの量の脂肪をとるようになりました。ある程度の脂肪量の食事の増加が、日本人の基本的な栄養と体格の向上に貢献してきたことは事実だと思います。また、

ここ半世紀の間アメリカで、脂肪を減らしても糖尿病が減らなかったことも事実です。しかしながら、日本人に限って考えたとき、ここ30年で増大した脂肪の摂取量が必ずしも日本人の健康に適した量であるかどうかは、大きな疑問のあるところです。

2000年の日本人の1日あたりの脂肪摂取量は、およそ60g。1946年からわずか50数年で、約4倍にも増えているのです。つまり日本人は、かつてない脂肪の大洪水の中にいるのです。その中で、インスリン抵抗性(インスリン感受性の低下/血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなること)という初めての敵と闘う時代を迎えたのです。

その裏で、アメリカではこういうことが起きていました。1977年、アメリカでマクガバン・レポート(アメリカ合衆国上院栄養問題特別調査委員会報告書)が公表されました。

当時、アメリカでは心臓病やがんによる死亡率が高く、経済が破綻しかねないほど医療費が増大していました。そんな経済危機を何とか打開しようと行われたのが、1180億ドル(約25兆円)という予算を組み、3000人の専門家が7年の歳月をかけて取り組んだ大規模な健康調査です。

その結果、アメリカ人は栄養過剰でありながら必要な栄養素が足りないことがわかり、空前のダイエットブームが起こりました。この時、マクガバン・レポートに書かれていた理想的な食事が、「元禄時代以前の日本の食事」です。

それから、無脂肪のヨーグルトや牛乳が発売され、それまで好んで食べていた肉の脂身を食べなくなりました。そして、余った脂身を輸出するために、それまで1頭単位で輸出していた牛を部位別に切り分けて輸出するようになりました。

それを喜んで買っていたのが、日本人です。マクガバン・レポートが公表された3年後の1980年は、日本に対してアメリカが牛肉の輸入の自由化を迫った年でもあるのです。

1980年以降、日本人の総コレステロール値はうなぎのぼりに高くなり、その後アメリカ人と日本人のコレステロール値は逆転します。植物性の食事を長いこととっていた日本人に、突然訪れた高脂肪食のシャワー。日本人の体が初めて体験するこの欧米化された食事が、習慣病の原因となつたのです。

糖尿病闘病記 寝たきりにならないために

誰もが糖尿病になる時代

日本人の食生活について、ちょっと振り返ってみましょう。欧米人はここ数千年、一気に押し寄せる高脂肪の波に打ち克つように進化してきました。ところが日本人は、つい最近この闘いに参戦したばかりです。

いま、日本は食のグローバリゼーションにさらされています。ここ60年で、日本人の食生活は、小麦を頂点とした食生活に改造されてしまいました。日本人が食してきたお米をはじめとする伝統食は、まるで文化的レベルが低いかのような偏見で見られる時代もありました。そんな時代を経て、いま日本人は米から離れ、食料自給率が40%もない国になってしまいました。

逆に、いま私たちが食するもののほぼ60% は、外国のものであり、しかも、その多くは私たちの祖先が見たことも食べたこともないものばかりです。もともと欧米人の糖尿病並みの膵臓の能力しかない私たちが、和食の伝統を軽んじて、欧米の食品を毎日おいしくいただく時代が到来したのです。

脂肪の摂取量は約4倍になり、糖質の内容は多糖類から単糖類へと変化し、穀物は精白が進み、インスリンが働きにくい環境と血糖値が上がりやすい環境がしのぎを削りながら広がり続けています。

ここへ国民そろっての身体活動量の低下がとどめを刺します。身体活動量というのは、運動量とは違います。会社に通ったり、買い物に行ったり、仕事をしたり、家事をしたり、生活上のすべての活動において体を使う量のことで、これを「身体活動量」といいます。脂肪やカロリーが増え、身体活動量が減ったらどうなるか。当然その先に待っているのたいじは肥満です。しかし日本人はそうなる前に、糖尿病というもっと大きな敵と対略しなければならないのです。

お米大好き日本人の糖尿病リスク

通常の食事をしていたら糖尿病になってしまう

特定健診で検出される血糖値の基準は、ヘモグロビンA1C 5.2% です。この数値、いくら予防のためとはいえ厳しすぎると思いませんか。私は、各地の自治体から依頼されて、特定健診のデータをとりまとめています。

そのたくさんのデータを見ると、受診者のヘモグロビンA1C の平均値は5.2% 前後の地域が多いのです。つまり、健診を受けた人の約半数は、ヘモグロビンA1Cが5.2 %を超えているのです。これではいくらなんでも、基準として厳しすぎるのではないか。当初私は、勝手にそう思い込んでいました。しかし、尊敬する糖尿病専門のある医師のひと言で、目が覚めました。

「よけいに食べたり飲んだりせず、腹八分目にご飯を食べていたら、ヘモグロビンA1Cが5.0% を超えることはないでしょう! 5.0% を超えるような食生活をするから、超えるんだよ」、

うろこ目から鱗の落ちる思いでした。5%を超えるような食生活をするから、超える…。私自身を振り返ると、酒をやめ、野菜から食べる植物性食品中心の食生活に変えて11.1% あったH b A I Cが、4.2~4.7% に下がりました。

しかし、もしいままでどおりの食事をしていたらどうなったでしょう?

そういえば、こんなエピソードがありました。とある60代の男性が、糖尿病、高血圧症、脂質異常症があるということで私を訪ねてきました。血縁者でもあり、尿タンパクの数値が3+を示していたので非常に危険と考え、私(の家にしばらく泊まり込んで治療をすることにしました。

1日に2回薬を飲み、1日3回食事をとります。そして午後に散歩をします。さらにかなり多量の降圧剤、、そして特効性インスリンを投与します。食事は1日3回でトータル1700kcalですが、必ず1 日あたり700~800gの山盛りの野菜がつきます。

脂肪は1日30g、タンパク質は体重1kgあたり1gを当初の目標にしました。すると、ものの10日間で3kgほど体重が減り、ヘモグロビンA1Cも9.0% から7.5% に下がり、食後2時間の血糖値も350mg/dlから160mg/dlまで下がってきました。それから約3ヶ月たったある日のこと、私の家での生活について、自分の息子や親戚に話しているのを偶然聞いてしまいました。「おまえよりひどい食い物だった」「おまえのほうがまだましだ」

正直ショックでした。彼にしてみれば、私たちよりひどい食べ物かもしれませんが、私たち家族は毎日おいしくいただいています。私たちの食生活は、そんなに世間離れしているのでしょうか?ショックである半面、「なるほどな」と感じることもありました。

それは、世間の人の普通の食事が本当に危ういということです。生活習慣痛は生活習慣の乱れで起こるといわれて久しいですが、「現代では糖尿病をはじめとする生活習慣病は、人並みの食事をし、普通に暮らしていたら必ず起こる」これが新しい常識です。「いま、日本人はみんなで赤信号を渡っているんだ」この頃、真剣にそう感じ始めました。

生命の危機(糖尿病)はこうして脱した

「予備軍」に隠された危険

多くの人は、境界型糖尿病ならまだ安心だと思っています。境界型糖尿病を、別名「糖尿病予備軍」ともいいます。この言葉、テレビコマーシャルや広告などでよく使われていますが、「予備軍」という響きが実によろしくない。
この響きが、「まだ糖尿病ではないから安心」という印象を与えてしまいます。

医師の中にも境界型糖尿病の患者さんに「よかったねー。まだ糖尿病じゃありません。これ以上悪くならないようにがんばりましょうね」と言っていました。でも、近い将来、こんな説明をすると、あとで患者さんに訴えられる日が来るかもしれません。

あとで詳しく述べますが、糖尿病の大問題とは細小血管障害(腎臓、眼の網膜、神経に栄養を送る血管がやられる)を招きやすいこと。そして大血管病(脳梗塞や心筋梗塞)を起こしやすいということです。最近の研究では、糖尿病と境界型糖尿病(糖尿病予備軍) においては、長く経過を追ってみると、この大血管病の起きやすさに差がないことがわかってきました。

糖尿病予備軍の段階から、動脈硬化は糖尿病並みに進むのです。つまり、糖尿病と糖尿病予備軍の運命はほとんど同じなのです。ここに、2 つの大きな社会問題が浮上します。

1つは、肥満のない人は特定健診では最初から引っかからないこと。特定健診は、メタポリックシンドロームの診断基準を採用しています。すると、肥満のない人はこの健康事業の網からもれてしまいます。ここにある地区の健診受診者339人(平均年齢約75歳)のBMIとヘモグロビンA1Cの関連を調査した最新データがあります。肥満ではないのに糖尿病、あるいは境界型糖尿病が疑われる人(BMI25未満、ヘモグロビンA1C 5.2 %以上)が6.9 %。そのうち、ヘモグロビンA1Cが正常でも糖尿病でもない糖尿病予備軍(BMI25未満、HbAI C5.2~6.1%% 未満)が最も多く、63% いました。

つまり太っていない糖尿病予備軍は6割以上いるのに、この人たちは特定健診に引っかからないのです。そして社会的にも、この診断基準は「太っていないから大丈夫」という大きな誤解を生み出しました。

しかしいまや、「日本人はやせたままでも、あるいはほんの少し太っただけでも糖尿病になる」。これが新しい常識です。太っていないからといって、安心はできないのです。もう1つの問題は、糖尿病予備軍には使える薬が少ないことです。糖尿病になれば立派な病気ですから、保険を使って手厚く治療することができます。ところが境界型糖尿病に使えるのは、α-GIという薬だけです。

いっそのこと糖尿病になってしまえば、思いきり治療できますが、境界型はできません。患者さんに、食事や運動でひたすらがんばってもらうしか方法がないのです。ですから境界型糖尿病と言われた人、「あーよかった」と喜んでいる場合ではないのです。
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ヘモグロビンA1C 5.2%は安全領域か?

8年前の2010年、糖尿病の診断基準が大きく変わりました。以前は参考所見だったヘモグロビンA1Cが、診断基準として加わりました。

ヘモグロビン(Hb)とは血液中の赤血球に存在するタンパク質のことで、このうちブドウ糖と結合したものをヘモグロビンA1Cといいます。ブドウ糖はタンパク質と結合しやすい性質があり、赤血球が全身をグルグルめぐる間にヘモグロビンにブドウ糖がくっついてきます。

血液中にブドウ糖が多いと、それだけヘモグロビンA1Cがたくさんつくられます。一度くっついたブドウ糖は、赤血球の寿命である約120日間、けっして離れることはありません。血糖値の高い状態が長く続けば、ブドウ糖と結合したヘモグロビンがたくさんつくられ、ヘモグロビンA1Cの数値は高くなります。

赤血球の寿A叩は約120日ありますので、過去にさかのぼってどのくらいヘモグロビンA1Cがつくられたかがわかります。だいたい直近1~2ヶ月の平均の血糖状態を表現しているとされています。このヘモグロビンA1Cが6.1% 以上の人は、2010年から血糖値や臨床状態を参考にしたうえでならば糖尿病と診断してよいことになりました。

ちなみに5.2~6.1% 未満は要指導、5.2%未満は正常です。人間ドックに行ったことのある人ならご存じでしょうが、人間ドックでは多くの場合、ヘモグロビンA1Cは5.8% から異常として検出されます。しかし特定健康診査(別名メタボ健診) では、5.2% から異常として検出されています。なぜでしょうか。

特定健診は動脈硬化(この場合は糖尿病)になりやすい人を検出しますが、人間ドックは、ほぼ糖尿病と思われる人を検出するからです。同じ健康診断でも、目的が違うと基準もまったく異なるのです。そうすると、人間ドックなどで5.8% 以上を検出しているのは、糖尿病を見つけるという意味ではおおむね妥当な話かもしれません。

では、人間ドックでは検出されないけれど、特定健診で検出される5.2~5.8%未満の人は、どんな人なのでしょう。私自身、非常に興味があったのでいろいろ調べました。

しかし5.2%を基準とするためのはっきりした根拠は見いだせませんでした。ただ、200例程度の少ない自験例から検討してみると、ヘモグロビンA1Cは5.4 %なのにブドウ糖負荷試験(ブドウ糖75 gが入ったジュースを飲み、飲む前、摂取の30 分後、1時間後、2時間後の血糖値を測定して、血糖値の上がり具合を見る検査) で糖尿病の方はいましたし、健診でヘモグロビンA1C 5.2% 以上だった人の食後1〜2時間の血糖値を調べてみると、180mg/dlを超える食後高血糖パターンの人を約半数近く認めました。もちろん、6.1% に近づくにしたがって、その出現率も高くなるわけです。

つまり、ヘモグロビンA1C 5.2~5.8% 未満の人は、おそらくまだ糖尿病にはなっていないけれど、食後高血糖糖尿病予備軍(境界型糖尿病) になっている、あるいはそれに近づいている可能性が高いと考えています。ですから、ヘモグロビンA1C 5.2% はおそらく、食後高血糖が出現し始める数値なのです。そして実は、食後高血糖は糖尿病と同じくらい、心筋梗塞や脳梗塞を起こす可能性が高いのです。

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メタボの糖尿病なら治療しやすい

やせの糖尿病のほうが大変でも紹介たように、デブにも、1つくらいはいいことがあります。やせれば、それだけで糖尿病やその他の血液検査の数値が改善するからです。

5kg以上のダイエットに成功した43名の血液データの変化を調べてみました。すると、ヘモグロビンA1C、空腹時血糖値、平均血圧、中性脂肪とも、大きく改善しました。つまり太った人は、糖尿病も高血圧症も脂質異常症も、やせればよくなる可能性が大きいのです。

私の場合、体重122kg、ヘモグロビンA1Cが11.1%%でしたが、体重の減少にともなつてヘモグロビンA1Cは下がり続け、42kg減量してからはインスリン注射は必要なくなりました。糖尿病の薬をまったく使うことがなくなったいまもずっと、ヘモグロビンA1Cは4~5%を維持しています。

しかしやせている人は、こういうわけにはいきません。とくに糖尿病の場合は、肥満かどうかで運命が大きく分かれるようです。なぜ肥満の人の糖尿病はコントロールしやすいのに、やせた人の糖尿病はコントロールしにくいのでしょうか。

それを車に例えると、こういうことになります。糖尿病にとって、エンジンにあたる部分を膵臓と考えてください。太っている人の糖尿病は、車体がトラックでエンジンが軽トラック用です。やせている人の糖尿病は、車体は軽トラックでエンジンが壊れている状態です。

ですから、太っている人はやせて車体を軽トラックの大きさにすれば、軽トラックのエンジンで動けます。ところがやせた人、あるいは何を食べても太れない人は、ガソリンを入れようがアクセルを目いっぱい踏もうが動かない。エンジンが壊れているからです。これこそ日本人らしい脆弱な膵臓の持ち主で、薬を使おうが何をしようが、勝臓はインスリンを出しにくいのです。やせた人の糖尿病は、それだけ深刻なのです。
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やせの糖尿病のほうが大変

欧米の糖尿病患者の多くは、BMIが30以上です。これは間違いなく、太っている人の特徴的な病気といっていいでしょう。しかし日本人は、やせたまま糖尿病になってしまいます。これを「由緒正しい日本の糖尿病」と呼んでいるのを耳にします。

膵臓機能が弱く、インスリンを大量に出せないから、太っている人になる前に糖尿病になってしまう。日本人のほとんどは、由緒正しい糖尿病の家系に生まれ、太らなくても糖尿病になる遺伝子を持っていると思います。

医師が手こずるのも、この「やせの糖尿病」です。その手強さは生半可ではなく、食事療法にも、血糖降下剤にも、インスリン療法にも反応しにくい症例が多いのです。食事療法に一生懸命取り組もうにも、もともと食が細くてあまり食べていないのに血糖値だけすごく高いというタイプの糖尿病の人を多く見かけます。

こういう人には、食事療法がなかなか効きません。おまけに高齢者にそういう人が多いため、インスリンを使おうにも、1日4 回、小刻みにお腹に注射なんてことは面倒でとてもできません。食べた糖分に見合うだけのインスリやすンを補給するような治療を目指していますが、言うは易くで、なかなかうまくいきません。

やせた糖尿病の患者さんは、ほとんどが80歳を過ぎたおばあちゃんなので、ヘモグロビンA1Cも6.5 % くらいならそれ以上無理な血糖コントロールはしませんが、大問題は、やせ型の、50~60歳ぐらいの人たちです。この人たちも、そんなに無茶な食生活ではないのに、血糖のコントロールにはとても難渋します。

50代、60代では、まだまだ人生先が長い。患者さんも私も、ほとほと苦労するのが、のやせた人の糖尿病なのです。そしてこういう人は太っていないだけにまったく何の自覚もないまま、ある日突然健診で糖尿病を指摘されることが多いのです。
そんな日本人が若い頃から太ってしまうと、どうなるでしょうか。当然、糖尿病の発症が早まってしまいます。そのうち日本人の糖尿病は、20代から増え始めるかもしれません。

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内蔵肥満の危険性

内臓の脂肪細胞には、面白い特性があります。脂肪細胞のサイズが大きいと、動脈硬化を促進したり、血圧を上げたりと、健康を害する方向のホルモンを分泌し始めるのです。奇妙なのは、内臓脂肪のサイズが大きく数が多いほど、レプチンという満腹を感じさせるホルモンをたくさん出すことです。

レプチンは内臓脂肪細胞が脂肪を取り込んだときに分泌されます。それが脳に取り込まれると食欲が抑えられるのですが、太っている人の場合は違います。さらに食べ物を食べて血糖値を上げ、インスリンの働きを悪くしてしまうのです。

つまり太れば太るほど腹が減る、あるいは、食べても食べても満足しないという奇妙な現象が起こります。これを「レプチン抵抗性」といいます。太っている人ではレプチンがたくさん分泌されるけれども、それが脳に十分取り込まれず、作用不足に陥るのです。それに対して、サイズの小さい内臓脂肪細胞は、血管を動脈硬化から守ったり、血圧を下げたりする作用のあるホルモンを分泌し、インスリンの効きをよくします。そして興味深いことに、同じ脂肪細胞でも、そのすみかによって役割が違うこともわかってきました。

たとえば、ネズミの皮下脂肪の細胞を腹腔内に移植すると、移植された脂肪細胞はホルモンの分泌を始めます。かたや、ネズミの内臓脂肪の細胞を皮下に移植すると、移植された脂肪細胞はホルモンの分泌をやめてしまいます。

つまり、脂肪細胞はそのすみかに応じて、役割も変わってくるのです。どうやら、皮下脂肪はエネルギー保持のために働き、内臓脂肪は体をコントロールするホルモンの分泌のために働いているようです。

おおざっぱな話ではありますが、こうした進化の道筋の遠いから、日本人はインスリン分泌量がとても少ないし、倹約型の進化を遂げたために大量の栄養と出合ったときに内臓肥満を起こしやすい。

「メタボ、メタボ」と世を挙げてメタボ探しをしているのは、日本人が肥満に弱く、少々太っただけでさまざまな病気を発症しやすいからです。私の診療所のある地区の健診データを眺めていても、日本人はこれほどまでに肥満に弱い民族なのかとつくづく感じます。

日本人には、とんでもなく太った人はいません。たとえば体重が500kgもある日本人を見たことがありますか。ギネスブックに載っているような500kgもある欧米人は糖尿70病でも脂質異常症(高脂血症)でもありません。いたって健康です。

しかし日本人は、100kgを超えると、多くの人が病気を持っています。日本の糖尿病患者の多くは、BMIが22.5~23.0程度です。もしかしたら、平均的な日本人にとって肥満はBMI25からではなく、BMI23ぐらいから始まるのかもしれません。

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日本人は肥満に弱い

これまでに紹介したとおり、日本人が肥満に恐ろしく弱い民族だということがわかります。中央アジアから北上した人たち、すなわちいまの欧米人の祖先は、高脂肪・高タンパク食に1万年以上慣れ親しんできた人たちです。

彼らは目の前にある食べ物を食べるだけ食べて、自分の皮下脂肪に保存して、飢餓に備えたのだろうと考えられます。そのためヨーロッパ人は皮下脂肪細胞の数が非常に多く、大量の脂肪を蓄えられるように進化してきました。つまり、肥満にきわめて強い。太っていても健康で、過度でなければ肥満が病気に結びつくことはあまりありません。

一方日本人はどうでしょうか。農耕に重きを置いた民族は、次の収穫期まで細々と食べつなぐ生活を余儀なくされてきました。一度に食べて自分の体の脂肪として貯蓄するのではなく、そう簡単に腐らないイモ類や穀類を少しずつ食べるという倹約型の食事をしてきたのです。

その結果、おのずと体内に蓄えることのできる脂肪も少なく、体に持っている脂肪細胞の数も少ないまま進化してきました。その代わり、生きるのに必要なエネルギーが少なくてすむ倹約遺伝子を獲得しました。

実際日本人は、倹約遺伝子を持っている人が欧米人の2〜3倍、多いことがわかっています。これがまた、現代においては、肥満や糖尿病を助長する原因になります。かなた遠い歴史の彼方に、皮下脂肪が少なく、少量の食料でも生き残ってきた忍耐強いわれわれ日本人の祖先の姿が見えるようです。わざわしかしそれが、飽食の現代ではすべてに災いします。まず、倹約遺伝子が多ければ、少し余分に食べただけで太ってしまいます。これまでの研究で、1種類の倹約遺伝子を持つ人は200 kcal、2種類の倹約遺伝子を併せ持つ人は300 kcalも基礎代謝が減少することがわかっています。

基礎代謝とは、じつとしているだけでも消費されるエネルギーのこと。これが多ければ太りにくく、少なければ太りやすくなります。同じものを食べても、倹約遺伝子を持っている人は基礎代謝が少ない分だけ太りやすくなります。

また現在では、日本人がもともと脂肪細胞をたくさん持っていないことも日本人の糖尿病の特色であることがわかってきています。過剰なエネルギーが体に入ると、内臓脂肪であれ、皮下脂肪であれ、脂肪細胞は脂肪を取り込み、肥大化します。

元の脂肪細胞の数が多ければ、過剰なエネルギーをたくさんたくわえることも可能ですが、もともとの数が少ないと、とくに内臓脂肪はすぐに肥大化を起こし、悪玉のホルモンを分泌し始めます。日本人は元来、この脂肪のタンクが小さいので内臓脂肪細胞の肥大化を起こしやすく、反対に欧米人はこの脂肪のタンクがとてつもなく大きいので、たくさんの脂肪をためることができます。このため、私たちに比べてとんでもなく太っても、欧米人は糖尿病にはなりにくいのです。

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