insulin

メタボの糖尿病なら治療しやすい

やせの糖尿病のほうが大変でも紹介たように、デブにも、1つくらいはいいことがあります。やせれば、それだけで糖尿病やその他の血液検査の数値が改善するからです。

5kg以上のダイエットに成功した43名の血液データの変化を調べてみました。すると、ヘモグロビンA1C、空腹時血糖値、平均血圧、中性脂肪とも、大きく改善しました。つまり太った人は、糖尿病も高血圧症も脂質異常症も、やせればよくなる可能性が大きいのです。

私の場合、体重122kg、ヘモグロビンA1Cが11.1%%でしたが、体重の減少にともなつてヘモグロビンA1Cは下がり続け、42kg減量してからはインスリン注射は必要なくなりました。糖尿病の薬をまったく使うことがなくなったいまもずっと、ヘモグロビンA1Cは4~5%を維持しています。

しかしやせている人は、こういうわけにはいきません。とくに糖尿病の場合は、肥満かどうかで運命が大きく分かれるようです。なぜ肥満の人の糖尿病はコントロールしやすいのに、やせた人の糖尿病はコントロールしにくいのでしょうか。

それを車に例えると、こういうことになります。糖尿病にとって、エンジンにあたる部分を膵臓と考えてください。太っている人の糖尿病は、車体がトラックでエンジンが軽トラック用です。やせている人の糖尿病は、車体は軽トラックでエンジンが壊れている状態です。

ですから、太っている人はやせて車体を軽トラックの大きさにすれば、軽トラックのエンジンで動けます。ところがやせた人、あるいは何を食べても太れない人は、ガソリンを入れようがアクセルを目いっぱい踏もうが動かない。エンジンが壊れているからです。これこそ日本人らしい脆弱な膵臓の持ち主で、薬を使おうが何をしようが、勝臓はインスリンを出しにくいのです。やせた人の糖尿病は、それだけ深刻なのです。
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やせの糖尿病のほうが大変

欧米の糖尿病患者の多くは、BMIが30以上です。これは間違いなく、太っている人の特徴的な病気といっていいでしょう。しかし日本人は、やせたまま糖尿病になってしまいます。これを「由緒正しい日本の糖尿病」と呼んでいるのを耳にします。

膵臓機能が弱く、インスリンを大量に出せないから、太っている人になる前に糖尿病になってしまう。日本人のほとんどは、由緒正しい糖尿病の家系に生まれ、太らなくても糖尿病になる遺伝子を持っていると思います。

医師が手こずるのも、この「やせの糖尿病」です。その手強さは生半可ではなく、食事療法にも、血糖降下剤にも、インスリン療法にも反応しにくい症例が多いのです。食事療法に一生懸命取り組もうにも、もともと食が細くてあまり食べていないのに血糖値だけすごく高いというタイプの糖尿病の人を多く見かけます。

こういう人には、食事療法がなかなか効きません。おまけに高齢者にそういう人が多いため、インスリンを使おうにも、1日4 回、小刻みにお腹に注射なんてことは面倒でとてもできません。食べた糖分に見合うだけのインスリやすンを補給するような治療を目指していますが、言うは易くで、なかなかうまくいきません。

やせた糖尿病の患者さんは、ほとんどが80歳を過ぎたおばあちゃんなので、ヘモグロビンA1Cも6.5 % くらいならそれ以上無理な血糖コントロールはしませんが、大問題は、やせ型の、50~60歳ぐらいの人たちです。この人たちも、そんなに無茶な食生活ではないのに、血糖のコントロールにはとても難渋します。

50代、60代では、まだまだ人生先が長い。患者さんも私も、ほとほと苦労するのが、のやせた人の糖尿病なのです。そしてこういう人は太っていないだけにまったく何の自覚もないまま、ある日突然健診で糖尿病を指摘されることが多いのです。
そんな日本人が若い頃から太ってしまうと、どうなるでしょうか。当然、糖尿病の発症が早まってしまいます。そのうち日本人の糖尿病は、20代から増え始めるかもしれません。

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内蔵肥満の危険性

内臓の脂肪細胞には、面白い特性があります。脂肪細胞のサイズが大きいと、動脈硬化を促進したり、血圧を上げたりと、健康を害する方向のホルモンを分泌し始めるのです。奇妙なのは、内臓脂肪のサイズが大きく数が多いほど、レプチンという満腹を感じさせるホルモンをたくさん出すことです。

レプチンは内臓脂肪細胞が脂肪を取り込んだときに分泌されます。それが脳に取り込まれると食欲が抑えられるのですが、太っている人の場合は違います。さらに食べ物を食べて血糖値を上げ、インスリンの働きを悪くしてしまうのです。

つまり太れば太るほど腹が減る、あるいは、食べても食べても満足しないという奇妙な現象が起こります。これを「レプチン抵抗性」といいます。太っている人ではレプチンがたくさん分泌されるけれども、それが脳に十分取り込まれず、作用不足に陥るのです。それに対して、サイズの小さい内臓脂肪細胞は、血管を動脈硬化から守ったり、血圧を下げたりする作用のあるホルモンを分泌し、インスリンの効きをよくします。そして興味深いことに、同じ脂肪細胞でも、そのすみかによって役割が違うこともわかってきました。

たとえば、ネズミの皮下脂肪の細胞を腹腔内に移植すると、移植された脂肪細胞はホルモンの分泌を始めます。かたや、ネズミの内臓脂肪の細胞を皮下に移植すると、移植された脂肪細胞はホルモンの分泌をやめてしまいます。

つまり、脂肪細胞はそのすみかに応じて、役割も変わってくるのです。どうやら、皮下脂肪はエネルギー保持のために働き、内臓脂肪は体をコントロールするホルモンの分泌のために働いているようです。

おおざっぱな話ではありますが、こうした進化の道筋の遠いから、日本人はインスリン分泌量がとても少ないし、倹約型の進化を遂げたために大量の栄養と出合ったときに内臓肥満を起こしやすい。

「メタボ、メタボ」と世を挙げてメタボ探しをしているのは、日本人が肥満に弱く、少々太っただけでさまざまな病気を発症しやすいからです。私の診療所のある地区の健診データを眺めていても、日本人はこれほどまでに肥満に弱い民族なのかとつくづく感じます。

日本人には、とんでもなく太った人はいません。たとえば体重が500kgもある日本人を見たことがありますか。ギネスブックに載っているような500kgもある欧米人は糖尿70病でも脂質異常症(高脂血症)でもありません。いたって健康です。

しかし日本人は、100kgを超えると、多くの人が病気を持っています。日本の糖尿病患者の多くは、BMIが22.5~23.0程度です。もしかしたら、平均的な日本人にとって肥満はBMI25からではなく、BMI23ぐらいから始まるのかもしれません。

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