糖尿病

日本人 肥満に弱い人種であることを理解する

日本人 肥満

日本人 肥満に弱い人種です。これまでに紹介したとおり、日本人が肥満に恐ろしく弱い民族だということがわかります。中央アジアから北上した人たち、すなわちいまの欧米人の祖先は、高脂肪・高タンパク食に1万年以上慣れ親しんできた人たちです。

日本人 肥満に弱い

彼らは目の前にある食べ物を食べるだけ食べて、自分の皮下脂肪に保存して、飢餓に備えたのだろうと考えられます。そのためヨーロッパ人は皮下脂肪細胞の数が非常に多く、大量の脂肪を蓄えられるように進化してきました。つまり、肥満にきわめて強い。太っていても健康で、過度でなければ肥満が病気に結びつくことはあまりありません。

一方日本人はどうでしょうか。農耕に重きを置いた民族は、次の収穫期まで細々と食べつなぐ生活を余儀なくされてきました。一度に食べて自分の体の脂肪として貯蓄するのではなく、そう簡単に腐らないイモ類や穀類を少しずつ食べるという倹約型の食事をしてきたのです。

その結果、おのずと体内に蓄えることのできる脂肪も少なく、体に持っている脂肪細胞の数も少ないまま進化してきました。その代わり、生きるのに必要なエネルギーが少なくてすむ倹約遺伝子を獲得しました。

実際日本人は、倹約遺伝子を持っている人が欧米人の2〜3倍、多いことがわかっています。これがまた、現代においては、肥満や糖尿病を助長する原因になります。かなた遠い歴史の彼方に、皮下脂肪が少なく、少量の食料でも生き残ってきた忍耐強いわれわれ日本人の祖先の姿が見えるようです。わざわしかしそれが、飽食の現代ではすべてに災いします。まず、倹約遺伝子が多ければ、少し余分に食べただけで太ってしまいます。これまでの研究で、1種類の倹約遺伝子を持つ人は 200 kcal 2 種類の倹約遺伝子を併せ持つ人は 300 kcal も基礎代謝が減少することがわかっています。

基礎代謝とは、じつとしているだけでも消費されるエネルギーのこと。これが多ければ太りにくく、少なければ太りやすくなります。同じものを食べても、倹約遺伝子を持っている人は基礎代謝が少ない分だけ太りやすくなります。

また現在では、日本人がもともと脂肪細胞をたくさん持っていないことも日本人の糖尿病の特色であることがわかってきています。過剰なエネルギーが体に入ると、内臓脂肪であれ、皮下脂肪であれ、脂肪細胞は脂肪を取り込み、肥大化します。

元の脂肪細胞の数が多ければ、過剰なエネルギーをたくさんたくわえることも可能ですが、もともとの数が少ないと、とくに内臓脂肪はすぐに肥大化を起こし、悪玉のホルモンを分泌し始めます。日本人は元来、この脂肪のタンクが小さいので内臓脂肪細胞の肥大化を起こしやすく、反対に欧米人はこの脂肪のタンクがとてつもなく大きいので、たくさんの脂肪をためることができます。このため、私たちに比べてとんでもなく太っても、欧米人は糖尿病にはなりにくいのです。

医師が糖尿病になった闘病記はこちら。

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日本人 膵臓機能 は他の民族に比べて低い

日本人膵臓機能

日本人 膵臓機能 は他の民族に比べて低いと言われています。日本人の膵臓機能が低い理由を紹介します。1万年以上前から動物性食品に慣れ親しんできたヨーロッパ人は、中世の時代にはすでに1日270グラムもの肉とおよそ60グラムもの脂肪を摂取していました。この動物性タンパク質、動物性脂肪は、少量で莫大なエネルギーを持ち、人間の生存にはこのうえなく有利な食品です。

日本人の膵臓機能が低い理由

そしてこの脂肪の多い食品によって、ヨーロッパ人の膵臓は大量のインスリンが出るように進化しました。脂肪は、糖を細胞に取り込むインスリンの働きを阻害して、糖が細胞に入りにくい状態、すなわちインスリンの感受性の低下を引き起こします。すると、膵臓はさらに大量のインスリンを分泌し、糖を細胞に取り込ませようと盛んに働きます。

乳や肉など脂肪の多い食物をとるには、膵臓を発達させ、大量の脂肪に負けないだけの大量のインスリンを出す必要があったのです。加えて冷蔵技術などが発達していない時代は、乳や肉を残すことはできません。それらを全部、エネルギーとして体にため込むためにも、大量のインスリンが必要でした。

つまり、現代のヨーロッパ人は、数千年の脂肪との闘いの中で生き残ってきた、糖尿病に強い子孫なのです。一方、日本人の祖先が食べていたのは、おもにイモや木の実や雑穀などの植物性の食物です。エネルギー源である穀類は、糖がたくさん集まった多糖類で、消化・吸収に時間がかかります。

ゆっくり吸収されると、インスリンもゆっくり分泌されます。脂肪を多く摂取しているヨーロッパの人々のように、急激なインスリン分泌を必要としませんでした。また、脂肪の摂取はきわめて少なかったと推察できます。

縄文時代で1日あたり10~14グラム、平安時代(約1000年前)で11グラム、江戸時代末期(150年前) でも19グラム程度だったと分析しています。

日本人はごく直近まで、何千年にもわたって脂肪を多くとる食生活を送ってこなかったので、ヨーロッパの人たちのようには膵臓が発達しませんでした。加えて、穀類はきちんと保存すれば腐ることはなく、収穫したものを少量ずつ計画的に食べることができます。

ヨーロッパ人のように、一度に大量の食物をまとめ食いして、インスリンを大量に出す素地はなかったのです。日本人は、インスリンの分泌という観点からいうと、倹約型の進化をたどってきた民族なのです。日本人と欧米人を比べると、日本人のインスリンの分泌能力は欧米人の50~70% 程度しかないことも明かになっています。そのインスリン分泌の脆弱な日本人も、長く欧米の食生活にさらされると、インスリン分泌能力が上がることがわかってきました。

日本人の膵臓機能が低い理由 まとめ

日本人の膵臓機能が低い理由には、遺伝的要因、生活習慣、食事内容、環境要因などが関係していると考えられています。以下に主要な理由をいくつか挙げます。

遺伝的要因

一部の研究では、日本人を含む東アジア人が遺伝的に膵臓機能が低下しやすい傾向があることが示唆されています。特定の遺伝子変異が膵臓機能に影響を与えることがわかっており、これが糖尿病などの膵臓関連疾患のリスクを高める一因となっています。

2. 食事内容

日本の伝統的な食事は、炭水化物の摂取量が多い傾向があります。米や麺類、パンなどの炭水化物を多く摂取すると、膵臓はインスリンを多量に分泌する必要があり、これが長期間にわたって膵臓に負担をかける可能性があります。また、高脂肪・高糖質の食事は膵臓の機能低下を引き起こしやすいです。

3. 生活習慣

現代の生活習慣は、運動不足やストレスの増加など、膵臓機能に悪影響を与える要因が多く存在します。特に、座りがちな生活や不規則な食事時間、過度のアルコール摂取などが膵臓に負担をかけます。

4. 環境要因

環境要因として、都市部における大気汚染や食品添加物の摂取、化学物質への暴露などが膵臓の健康に悪影響を与える可能性があります。これらの要因が慢性的な炎症を引き起こし、膵臓の機能を低下させることがあります。

5. 病気の影響

日本では糖尿病の罹患率が増加しており、この病気は膵臓の機能に直接影響を与えます。糖尿病患者では、膵臓のインスリン分泌能力が低下するため、膵臓機能の低下が進行しやすくなります。

これらの要因が複合的に作用して、日本人の膵臓機能が低下しやすい状況を作り出していると考えられます。膵臓の健康を保つためには、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理などが重要です。

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日本人の体質 進化の過程から見えてくるもの

日本人の体質 進化の過程から見えてくるもの

日本人の体質 進化の過程から見えてくるもの を紹介します。こちらのようにやせたまま糖尿病になる。これはいったい、どういうことでしょうか。それを説明するには、長い歴史をさかのぼらなければ理解できないでしょう。

日本人の体質 進化の過程から見えてくるもの

日本人と欧米人を比べたとき、同じ人類でありながらけっこうな違いがあることはわかると思います。約20万年前にアフリカで誕生した人類は、約4 万年前に中央アジアを起点に、長い旅を始めました。

アフリカから中央アジアに出て、北上した着たち。そこからヨーロッパに向かった者たち。あるいは、シベリア方面へと枝分かれしていった着たち。北に向かった人たちは、現代のヨーロッパ人です。まだ氷河が溶けていなかったために中央アジアで1万年ほど足止めをくらい、最近の1 万~2 万年くらいの間に北上したようです。彼らの肌の色が白いことからも、ヨーロッパの地は日照時間が短く、土壌がやせていて、農耕には不向きであったと想像できます。

彼らは早い時期から牧畜を覚え、乳や肉を中心とした動物性食品をとって生活していたと思われます。一方、東へ東へと向かった人たちの中に、私たち日本人の祖先がいます。彼らはインドから中国を経て、やがて日本にたどり着きます。

最初のうちは荒れ果てた原野で強い動物の食べ残しをあさったり、虫や月や木の実を食べたりしながら、飢餓を乗り越えてきました。そして7000年ぐらい前(縄文時代)から農耕を覚え、ある程度計画的に一年を過ごす食生活を身につけました。

作物の取れない時期は、蓄えた作物を少しずつ食べて餓えをしのいだのです。北上して牧畜を覚えたヨーロッパ人と、温暖な東方に移動して農耕を覚えた日本人。この食環境が、両者に大きな進化の違いをもたらしました。1つは糖尿病の成り立ちの違い、そしてもう1つは脂肪を蓄える能力の違い。日本人にやせた糖尿病患者が多い理由も、そこから透けて見えてきます。

日本人にやせた糖尿病患者が多い理由

日本では、肥満ではない、もしくはやせた体型の糖尿病患者が多く存在します。これは、アジア人に特有の遺伝的・生活習慣的な要因や、インスリン分泌機能の特性などが影響しているためです。以下にその詳細な理由を説明します。

遺伝的要因

インスリン分泌の効率性

  • アジア人は欧米人に比べて、インスリン分泌能力が低い傾向があります。このため、少ない体脂肪であっても、血糖値の調節がうまくできず、糖尿病を発症しやすくなります 。
  • インスリン抵抗性が強くなくても、インスリン分泌不足により血糖値が上昇しやすくなるため、やせていても糖尿病にかかりやすいと言えます。

遺伝的多様性

  • PNPLA3遺伝子変異: アジア人には、この遺伝子変異が比較的高頻度で見られます。この変異は脂肪肝を引き起こしやすく、糖代謝に悪影響を与えることがあります 。
  • TCF7L2遺伝子変異: インスリン分泌に関与する遺伝子で、この変異があると糖尿病のリスクが増加します 。

2. 食生活と生活習慣

食事の影響

  • 高糖質の食事: 日本の食文化には、白米や麺類、砂糖を多く使った料理が多くあります。これらは血糖値を急激に上昇させ、インスリンの負担を増加させる可能性があります 。
  • 間食の習慣: 砂糖を含む間食や飲み物が多く、日常的に高血糖状態が続くことがあります。

運動不足

  • 都市部での生活: 都市化が進んだ生活環境では、運動する機会が減少し、食後血糖値を下げるためのエネルギー消費が少なくなります 。
  • デスクワークの増加: 座りがちな生活が多く、食後に血糖値が効果的に下がらないため、高血糖の状態が長引くことがあります。

3. インスリン抵抗性の少なさ

やせ型糖尿病の特徴

  • インスリン抵抗性が比較的少ない: 欧米の糖尿病患者に見られるインスリン抵抗性が少ない傾向にあります。代わりに、インスリン分泌能力の低さが主要な問題となることが多いです 。
  • 内臓脂肪の影響: やせていても内臓脂肪が多い場合、脂肪の遊離脂肪酸が肝臓での糖産生を刺激し、血糖値を上昇させることがあります。

4. 加齢によるインスリン分泌低下

高齢者に多い

  • 加齢とともにインスリン分泌が低下: 高齢になると、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能が低下し、やせていても血糖値が上がりやすくなります 。
  • 筋肉量の減少: 高齢者では筋肉量が減少し、糖を取り込む能力が低下するため、食後の血糖値が高くなる傾向があります。

5. その他の要因

ストレスと睡眠不足

  • ストレスが多い生活: ストレスによってコルチゾール(ストレスホルモン)が増加し、これがインスリン抵抗性を高めることがあります 。
  • 睡眠不足: 睡眠不足は、ホルモンバランスを崩し、インスリンの働きを低下させることがあります。

周産期の栄養状態

  • 胎児期の栄養不足: 妊娠中の母親が栄養不足だと、子供は将来的に糖尿病のリスクが高くなることが知られています。この現象は「胎児期の低栄養仮説」として提唱されています 。

具体例と統計データ

日本における統計

  • 糖尿病の割合: 日本人成人の糖尿病有病率は約12%で、その中でもやせた体型の患者は約30%を占めると報告されています 。
  • 糖尿病の年齢分布: 糖尿病患者は高齢者に多く見られますが、若年層でも肥満でない糖尿病患者が増加しています 。

国際的な比較

  • アジア人のリスク: アジア人全体で見ても、やせた体型でも糖尿病リスクが高いことが報告されています。これに対し、欧米人は肥満に伴って糖尿病リスクが増加する傾向が強いです 。

やせた糖尿病患者への対応策

食生活の改善

  • 低GI食品の摂取: 血糖値をゆっくり上げる低GI食品を中心に摂取することが推奨されます。
  • バランスの取れた食事: 栄養バランスを考えた食事を心がけ、過剰な糖質や脂質を避けます。

運動の推奨

  • 定期的な運動: 運動はインスリン感受性を向上させ、血糖値のコントロールに役立ちます。ウォーキングや筋トレが有効です。

生活習慣の改善

  • ストレス管理: ストレスを軽減し、コルチゾールの過剰分泌を抑えることが重要です。
  • 十分な睡眠: 良質な睡眠を確保し、ホルモンバランスを整えます。

まとめ

日本人にやせた糖尿病患者が多いのは、遺伝的な要因やインスリン分泌の特性、食生活や生活習慣の影響によるものです。適切な食生活の維持、定期的な運動、ストレス管理などで、糖尿病のリスクを低減することが重要です。

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