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糖尿病を克服するには

私はあるときから、同じ日本人の2型糖尿病でも、インスリンを分泌する膵臓のβ 細胞が徹底的に破壊されてしまった、1型糖尿病(膵臓にあるβ 細胞がリンパ球によって破壊され、インスリンをほとんど分泌できない糖尿病。「インスリン依存型糖尿病」ともいう)に限りなく近い糖尿病と、ただ体の大きさにインスリンの量と働きが追いついていないだけの糖尿病とがあるのではないかと、考えるようになりました。

1つ目は、インスリンを出すことができない。2つ目は、インスリン抵抗性(インスリンの働きが悪いこと。「インスリンの感受性が低い」ともいう) のためにインスリンが効かない。この2 つの要素の組み合わせにより、糖尿病は大きく次の3 つのタイプに分けられます。

  1. インスリンがほとんど出ない→ほとんど1型の糖尿病
  2. インスリンは少し出るけれど、ほんの少し太っただけで肥満の程度が軽くてもインスリンの働きが足りなくなる→日本人型2型糖尿病
  3. インスリンはたくさん出るけれど、圧倒的にインスリンが働きにくくて(すごく肥満の程度が強くて)、インスリンが効かない→欧米人型2型糖尿病

このようなわけで、日本人はBMI23程度の、肥満とはいえないくらいのほんの少しの肥満傾向でも、ほんの少しインスリンが出にくくなるだけで、糖尿病が発病するしくみなのです。高脂肪食のシャワーを浴びると、もともと膵臓機能が脆弱で、インスリン分泌能力が低い日本人は、インスリン抵抗性を生じやすい。インスリン抵抗性が高くなると、体内にあるインスリンの量が同じでも血糖の細胞への取り込み・利用が低下し、血糖値が下がりにくくなります。

その結果、血糖値を正常にするために、より多くのインスリンが必要になります。この状態(高インスリン血症) が長く続くと、膵臓が疲れきってインスリン分泌機能が低下し血糖値が上昇し、「糖尿病」を招きます。日本の由緒正しい糖尿病家系に生まれた人ほど、膵臓は疲弊して危険な糖尿病に陥りやすくなります。では、日本人はこのあとどのくらいの年月、この高脂肪食によるインスリン抵抗性との闘いを続けなければならないのでしょうか。

これについては私自身たいへん興味があったので、調べたところ、非常に面白い研究データを見つけました。それは日本人と日系人のインスリン分泌を調べたデータです。この研究は遺伝的には純粋な日本人である日系三世を中心とした調査になっており、ハワイの日系人では、日系三世、つまり三世代目くらいには、欧米人に近いインスリン分泌能力を獲得するようです。

しかし、日本は世界でも最高峰の高齢国家です。しかも、依然として少子化傾向が続いています。三世代もあとの日本を考えると、この国を支える若い人は本当に少なくなっているでしょう。真の意味で国の力、国力である人口は日本ではこの先さらに高齢化し、社会を支える中年や青年はこの国民的血管病にさいなまれるのです。

私自身の話をすれば、私はどちらかというと太れる糖尿病、つまり、いくらか膵臓のβ細胞が生き残った、どちらかといえば欧米型の糖尿病です。しかしこのままでは、私の遺伝子を受け継いだ子どもたちは、私の太る生活習慣を見事に引き継いで、放置すればそのうち140kgの巨漢になること間違いありません。

私が、血圧管理、体重管理、食事改善という3つの習慣に取り組んだいちばんのメリットは、私自身が私の思い違いに気づき、あの巨大な体から普通の体に変わる姿を、私の子どもたちに見せることができたことです。子どもたちを守るために、そして、少しでも健やかな自分の未来のために、日本人に適した生活のスタイルと方法を一生懸命考え、子どもたちに残していく。私たちと子どもたちの、そして日本の未来は明るいと思います。

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糖質より危険なのは脂質(高脂肪食)

糖尿病はその名前のとおり、過剰にとりすぎた糖が尿に出る病気です。したがって糖尿病は、糖質の摂取量が増えたことで爆発的に増加したという認識が世の中に浸透しています。それは、本当のことでしょうか。

ここには誤解が2つあります。まず、いまから65年前、1946年(昭和21年)は糖質の摂取量が80.6% でした。ところが2000年(平成12年)には57.5 %にまで減少しています。しかしその糖質の中身が、現代と一昔前ではまったく違うのです。

昔は、糖質の中心は穀類とイモ類でした。多くはたくさんの糖がつながった多糖類で、消化・吸収されるのに時間がかかります。したがって血糖値も緩やかに上昇し、それを取り込むインスリンもゆっくり分泌されました。

ところが現代では、砂糖のように精製された糖や、果物に含まれる果糖のような少量でも簡単に吸収される糖の摂取が増えてきました。そのため、食後急激に血糖値が上昇する「グルコーススパイク」を起こしやすくなりました。

このグルコーススパイクが血管にダメージを与えて、心筋梗塞や脳梗塞など、大きな血管の病気の引き金になります。もう1つ深刻な問題は、脂肪の摂取量です。日本人は古代から脂肪摂取量が少なく、ここ1万年くらいの間は10~14g程度であっただろうと推察されています。ところがいまや、欧米人も顔負けの量の脂肪をとるようになりました。ある程度の脂肪量の食事の増加が、日本人の基本的な栄養と体格の向上に貢献してきたことは事実だと思います。また、

ここ半世紀の間アメリカで、脂肪を減らしても糖尿病が減らなかったことも事実です。しかしながら、日本人に限って考えたとき、ここ30年で増大した脂肪の摂取量が必ずしも日本人の健康に適した量であるかどうかは、大きな疑問のあるところです。

2000年の日本人の1日あたりの脂肪摂取量は、およそ60g。1946年からわずか50数年で、約4倍にも増えているのです。つまり日本人は、かつてない脂肪の大洪水の中にいるのです。その中で、インスリン抵抗性(インスリン感受性の低下/血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなること)という初めての敵と闘う時代を迎えたのです。

その裏で、アメリカではこういうことが起きていました。1977年、アメリカでマクガバン・レポート(アメリカ合衆国上院栄養問題特別調査委員会報告書)が公表されました。

当時、アメリカでは心臓病やがんによる死亡率が高く、経済が破綻しかねないほど医療費が増大していました。そんな経済危機を何とか打開しようと行われたのが、1180億ドル(約25兆円)という予算を組み、3000人の専門家が7年の歳月をかけて取り組んだ大規模な健康調査です。

その結果、アメリカ人は栄養過剰でありながら必要な栄養素が足りないことがわかり、空前のダイエットブームが起こりました。この時、マクガバン・レポートに書かれていた理想的な食事が、「元禄時代以前の日本の食事」です。

それから、無脂肪のヨーグルトや牛乳が発売され、それまで好んで食べていた肉の脂身を食べなくなりました。そして、余った脂身を輸出するために、それまで1頭単位で輸出していた牛を部位別に切り分けて輸出するようになりました。

それを喜んで買っていたのが、日本人です。マクガバン・レポートが公表された3年後の1980年は、日本に対してアメリカが牛肉の輸入の自由化を迫った年でもあるのです。

1980年以降、日本人の総コレステロール値はうなぎのぼりに高くなり、その後アメリカ人と日本人のコレステロール値は逆転します。植物性の食事を長いこととっていた日本人に、突然訪れた高脂肪食のシャワー。日本人の体が初めて体験するこの欧米化された食事が、習慣病の原因となつたのです。

糖尿病闘病記 寝たきりにならないために

誰もが糖尿病になる時代

日本人の食生活について、ちょっと振り返ってみましょう。欧米人はここ数千年、一気に押し寄せる高脂肪の波に打ち克つように進化してきました。ところが日本人は、つい最近この闘いに参戦したばかりです。

いま、日本は食のグローバリゼーションにさらされています。ここ60年で、日本人の食生活は、小麦を頂点とした食生活に改造されてしまいました。日本人が食してきたお米をはじめとする伝統食は、まるで文化的レベルが低いかのような偏見で見られる時代もありました。そんな時代を経て、いま日本人は米から離れ、食料自給率が40%もない国になってしまいました。

逆に、いま私たちが食するもののほぼ60% は、外国のものであり、しかも、その多くは私たちの祖先が見たことも食べたこともないものばかりです。もともと欧米人の糖尿病並みの膵臓の能力しかない私たちが、和食の伝統を軽んじて、欧米の食品を毎日おいしくいただく時代が到来したのです。

脂肪の摂取量は約4倍になり、糖質の内容は多糖類から単糖類へと変化し、穀物は精白が進み、インスリンが働きにくい環境と血糖値が上がりやすい環境がしのぎを削りながら広がり続けています。

ここへ国民そろっての身体活動量の低下がとどめを刺します。身体活動量というのは、運動量とは違います。会社に通ったり、買い物に行ったり、仕事をしたり、家事をしたり、生活上のすべての活動において体を使う量のことで、これを「身体活動量」といいます。脂肪やカロリーが増え、身体活動量が減ったらどうなるか。当然その先に待っているのたいじは肥満です。しかし日本人はそうなる前に、糖尿病というもっと大きな敵と対略しなければならないのです。

お米大好き日本人の糖尿病リスク