大病でもしなければ、自分のお腹のCT画像など見る機会はあまりありません。ここで、お腹の中がどうなっているか、CT写真で黒く写っているところが脂肪で、白く写っているところは筋肉や内臓です。
正常な人の写真、肥満タイプの人、かくれ肥満の人のCT画像を比べると、どちらの写真でも、黒いところばかりで白いところが少ししか見えません。しかもかくれ肥満では、成人病の原因となる内臓脂肪がいっぱいついています。
こうした写真のかくれ肥満の人の体重はちょうど標準体重で、外見はちっとも太って見えません。このように、皮下脂肪と違い、内臓脂肪は外からはわからないので、よけい怖いのです。

体脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪があります。皮下脂肪は一般に女性に多く、内臓脂肪畑は男性と中年以降の女性に多いのが特徴です。
両者のうち、特に体にとって有害なのは、成人病の原因となっている内臓脂肪です。肥満には、皮下脂肪が多いタイプと内臓脂肪が多いタイプと、その両方が多いタイプがあります。

皮下脂肪が多い場合は、見た目にも太っていることがわかるので、あまりかくれ肥満にはなりません。かくれ肥満の場合、皮下脂肪は比較的少ないが、内臓脂肪が多くなっている可能性が高いでしょう。
つまり、脂肪は体の奥深く隠れているわけです。そして、健康の観点からは、かくれ肥満の方が深刻なのです。皮下脂肪は、体温を保ったり、エネルギーの貯蔵庫としての役割を果たしていますが、内臓脂肪にはどのような役割があるのかは、まだはっきりわかっていません。
どちらかというと、余ったカロリーを脂肪として一時的にためておく臨時の貯蔵庫のような存在らしく、その証拠に、脂肪を燃焼させようと運動を始めた場合、真っ先に消費されるのはこの内臓脂肪です。運動やカロリー制限をしても、皮下脂肪がなかなか取れないのに比べ、内臓脂肪がかくも簡単になくなってくれるのは、それだけ体にとって不必要な存在だからではないかと思われます。

内臓脂肪は、内臓と内臓の間の腸間膜などにくっつき、増えるとお腹のなかにピッシリこびりつきます。これは、外科手術のときなども非常にやっかいで、たとえば内臓脂肪と肥満型肥満者の胆石の除去手術をするときは、胆嚢を捜すのが一苦労です。

執刀医は、ピッシリついた脂肪をかきわけ、必死に胆嚢のありかを探らなければなりません。まさに手さぐり状態です。

皮下脂肪は、美容外科では吸引して除去することもありますが、内臓脂肪はそんなことはできません。内臓脂肪をなくすには、脂肪を燃焼させる、つまり摂取カロリーを制限するか、運動して消費カロリーを増やすしかないのです。かくれ肥満者は、若い頃はいかにヤセていたとしても、今では立派な内臓脂肪の持ち主です。

重要なのはなぜあなたがかくれ肥満になったのかと、かくれ肥満が招く恐ろしい結果を紹介します。どうすればかくれ肥満が解消できるのかがポイントです。