子供が肥満児になる確率は、両親の体型別に、次のように推定されます。
- 両親ともに肥満… 80%
- 父親だけが肥満……40% 母親だけが肥満……60%両親とも肥満ではない…10%
このように、一見、肥満と遺伝は非常に濃厚な関係があるようにみえます。たしかに最近、肥満遺伝子なるものも発見されています。
この遺伝子は、脂肪組織から出るレプチンという食欲抑制物質の効き目を、悪くするものだそうです。
しかし、父親だけが肥満しているよりも、母親だけが肥満している家庭の子供の方が20% も太りやすいのは、なぜでしょうか。
子供は、食生活や運動量などの生活習慣について両親から非常に大きな影響を受けています。
とりわけ母親からは、食事の量や内容、早食いなどの食べ方のクセ、おやつの習慣など、
「太る食生活」がそのまま伝受されてしまいます。遺伝とは関係のない夫婦間でも、妻が太っているとその夫も肥満する傾向があり、また、家族が太った家庭では飼い犬まで太っているという、笑い話のような医学論文もあるくらいです。つまり、遺伝の影響があっても、それが肥満の原因のすべてではありません。
遺伝が肥満に与える影響力は3割程度であって、あとの7割は、食生活や運動不足などの環境の影響といわれています。いくら肥満遺伝子があっても、食べ過ぎなければ太ることはないのです。
問題は、子供の噴から、母親ゆずりの太る食生活を続けていると、脂肪の貯蔵場所である脂肪細胞の数が増えてしまうことです。
脂肪細胞は妊娠末期の胎児期、乳児期、思春期の3つの時期に増えるので、この時期に過剰なエネルギーを摂取すると、脂肪細胞の数が著しく増加して、太りやすい体質になってしまうのです。これは、ほとんど母親の責任といっても過言ではありません。