長生きするのは「ちょいメタボ」を忘れない

「ダイエット」と「寿命」の意外な関係

太ってはダメイコールやせていたほうがいい、というのも多くの人がいつの間にか抱いているイメージです。

ちょっと歩くとすぐに汗が噴き出して息切れしてしまうくらいの肥満体は、自分の体を支えるのに足に負担がかかったり、さまざまな生活習慣病の原因になったりするので避けたほうがいいと言えます。

しかし、「太め」であるというのは、健康の本質とは関係がありません。人間の体は、余ったエネルギーを脂肪として体内に蓄えます。太めであるということは、余分なエネルギーを蓄えているということですから、いざ生命の危機に直面したとき、大いに役立つのです。

むしろ、もともと健康な休だったのに、無理なダイエットで命を縮めるケースが多いくらいです。世間でもてはやされているイメージや理屈よりも、実際に健康な人、長寿な人、高齢になっても若々しい人、そういう人は何を食べてどんな暮らしをしてきたのか、これに勝る実証はありません。

メタポリックシンドローム(内臓脂肪症侯群)が騒がれるようになってから、太っている人はますます肩身が狭くなってきました。スリムな人は美しい、かっこいいという価値観のうえに、やせている人は健康である、という評価まで加われば逃げ場がなくなってしまいます。

こうして、あらゆるダイエット法がもてはやされる時代になりました。しかし、それらのダイエットをやって「健康的に」やせられるのか、疑わしいものも少なくありません。

たしかに、日本人の体重は増えてきました。1950年と2010年の平均体重を比べてみると、男性は5.3 キロから69.6 キロに、女性は49.2キロから54.0 キロに増えています。

もちろん身長も伸びているわけですから当然のことですが、伸び率を比べてみても、男性は身長の伸び率7パーセントに対し、体重は何と25.9 パーセント、女性は身長の伸び率6.3 パーセントに対し、体重は9.8 パーセント( いずれも厚生労働省、30歳代の統計)。

つまり男性も女性も、年々太めになってきているのです。その一方で、ご存じのように日本人の平均寿命は大変長い。これも同じ年代で比べてみると、男性は58.0歳から79.64歳へ、女性は61.5歳から86.39歳へと、60年間で飛躍的に伸びています。こうして見てくると、太めになることのどこが悪いのか、と言いたくなります。

日本人は、太めになってエネルギーを蓄えられるようになったから、健康になり、寿命も伸びたと考えられるのです。もう1つ、2009年に行なわれた、厚生労働省の研究班による5万人規模の有名な調査があります。

体格指数(BMI=体重を身長の2乗で割ったもの) を、WHO(世界保健機関)の基準に準じて、

  • やせ(BMI 18.5未満)
  • 普通(BMI 18.5以上25未満)
  • 太り気味(BMI 25以上30未満)
  • 肥満(BMI 30以上)

に分けて、寿命との関係を調べたものです。その結果、40歳時点での平均余命は、長い順に、「太り気味→普通→肥満→やせ」となったのです。

やせた人は長命どころか、太り気味の人より6〜7歳短命であることがわかりました。

女性の場合は、太り気味の人と普通の人の余命はほとんど変わりませんでしたが、やせた女性は「太り気味・普通」の女性より6歳以上短命という結果も出ました。

ちなみに、身長170センチの男性でBMI が25というのは、体重が約72 キロ、身長155センチの女性でBMI 25は、約60 キロになります。これ以上が長命というのですから、たしかに太めですね。ところが、日本肥満学会では、2000年以来、日本人の肥満の基準をBMI 25以上と定義し、2011年にもこれが適正であると発表しています。

日本では、もっとも長生きしそうな体重が肥満と認定されてしまうわけですから不思議です。ですから、巷の数字には、あまりとらわれないのが一番だということです。短命になりがちなやせ型を目標にして、必死にダイエットに励んで生命のエネルギーをそぎ落としていくより、ちょいメタポで何が悪い、と開き直って前向きに進んでいくほうが、ずっと健康的だと思いませんか。

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