よく言われるのに、タバコを吸うと太らないという通説があります。そんなのは、たわごとだ、言い訳に過ぎないという言い分もありますが、しかし、喫煙者に肥満が多いという研究もあって、この矛盾のメカニズムは意外なものでした。
褐色脂肪細胞が燃焼して排出される
脂肪細胞には、白色脂肪細胞と、褐色脂肪細胞と呼ばれる2種類の細胞があります。白色のほうは細胞のなかに文字通り脂肪をため込み肥満の原因になりますが、褐色のほうは、脂肪をためるのでなく、燃やして熟として排出します。
車で言えばラジエータの役目を果たします。タバコを吸うと、この褐色脂肪細胞の熟産生が高まり、やせるというわけです。このことは動物実験でも確かめられています。
ネズミに1日約1時間、強制的にタバコの煙を吸わせ、肩甲骨の間にある褐色脂肪細胞を調べてみると、熟慮生が高まりエネルギーを消費していることがわかりました。これとは別に人間の例では、タバコを1箱吸うと、ご飯茶碗1杯分くらいのエネルギーを消責するという研究報告もあります。
ということはやっぱりたばこを吸うと痩せるのでしょうか?
ところがこれと真っ向から対立する疫学調査データもあるのです。厚生労働省でCTスキャンを用いた調査を行なったところ、正常者に比べ、BMI25以上のメタポ肥満者に、男性にも女性にも、喫煙者が多かつたのです。
海外報告でユニークなのは、「禁煙したら体重が増えたが、プロポーションは逆によくなった」という例があります。体重が増えたのは、褐色脂肪細胞が熱産生したからといえますが、ウェストやヒップ比をとってみると、禁煙をした人は、その比率が低いという結果でした。
つまり、禁煙者はウエストが比較的締まり、プロポーションはよくなっていたという結果です。タバコを吸うと科学的にやせるのは正しいはずなのに、なぜ、実際には肥満が多いのでしょうか?
医師はこれについて喫煙者は本人の健康に対する自覚がなく、運動をしないなど肥満になりやすい悪い生活習慣を持ち合わせているとともに、タバコの成分が直接、内臓脂肪を蓄積させ、メタボ肥満になると考えられると言っています。
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