肥満の原因が糖質の摂りすぎにあるということは、説明したとおりです。ここでは、糖質制限食のダイエット効果を証明した最近の疫学研究を紹介しておきましょう。
食事療法のダイエット効果についてはさまざまな説が飛び交っていましたが、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』2008年7月17日号に掲載され、長年の論争に決着をつけたと思います。
れはイスラエルの322人を対象に、脂肪制限食、地中海食、低炭水化物食の3グループに分けて、それぞれのダイエット効果を2年間追跡した研究です。
「低炭水化物食(糖質制限食) がもっとも体重を減少させ、善玉コレステロールを増加させた」というのが結論です。
- 低脂肪法(カロリー制限あり)
- オリーブ油の地中海法(カロリー制限あり)
- 低炭水化物法(カロリー制限なしのアトキンスダイエット)
3 つの食事法を追跡調査した結果、2年後の体重減少幅の平均は、
- 低脂肪法 2.9kg
- 地中海法 4.4kg
- 低炭水化物法 4.7kg
となり、カロリー制限なしのハンディにもかかわらず、低炭水化物法(糖質制限食)がもっとも減少していました。
また、善玉のHDLコレステロールも増えていました。もう1つは『米国医師会雑誌』2007年3 月号に掲載された論文です。
この研究は3 1 1人の女性をダイエット法ごとに4 つのグループに分けて、1年間の体重減少効果をみたものです。これら4種のダイエット法は、いずれも米国でポピュラーなものです。
- アトキンスダイエット(低炭水化物食)
- ゾーンダイエット(タンパク質・炭水化物・脂質の比率を40 :30:30に)
- ラーンダイエット(高炭水化物・低脂肪食)
- オーニッシュダイエット(炭水化物・タンパク質・脂質の比率を70 :20 :10 に)
結果は、1のアトキンスダイエットがもっとも体重を減少させ、善玉のHDL コレステロールを増やし、中性脂肪を減らすことが明らかとなりました。
このダイエット法は私たちの糖質制限食と基本的な考えは同じで、1年間で平均4.7kgの減少です。その他の結果は、ゾーンダイエット1.6kg減、ラーンダイエット2.6kg減、オーニッシュダイエット2.2 kg減です。